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2022年11月11日(金)4:24 PM

カンボジアにおける2023年度最低賃金および祝日の決定についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

2023年度最低賃金および祝日の決定

 

2023年度最低賃金および祝日の決定

2022年11月11日
One Asia Lawyers カンボジア事務所
日本法弁護士 吉田 重規

カンボジアにおいては、毎年、次年度の最低賃金額および祝日が法令により定められています。2023年度(1月から12月)について、下記の通り決定されました。

 

1.2023年度 縫製産業最低賃金の決定

2023年度の縫製産業を対象とした最低賃金は、月額200USドル(使用期間は198USドル)とされました(2022年9月21日付け労働省令247号)。

カンボジア実務においては、最低賃金は、縫製産業のみを対象として法定されています(もっとも、実務上は製造業を中心にその他の産業にも影響があります)。また、地域による差異はなく全国一律です。

毎年、政府・使用者・労働者の代表からなる最低賃金諮問委員会における議論を経て、労働省令により定められます。

コロナ禍の2020年・2021年において最低賃金の引上げが1%程度に抑えられていたこと、来年7月に5年に一度の下院選挙を控えていることなどから、事業者からは大幅な引き上げの懸念の声もありましたが、2022年度の194USドル(試用期間192USドル)から3.1%程度の上昇にとどまりました。

2.2023年度 祝日の決定

カンボジアにおいて、祝日は毎年政令により定めるとされます。2023年度の祝日が下記の通り決定されました(2022年8月22日付け政令166号、同9月7日付け労働省令243号)。

1月1日                                                   インターナショナルニューイヤー

1月7日                                                   虐殺政権からの解放の日

3月8日                                                   国際女性の日

4月14日、15日、16日                     クメール正月

5月1日                                                   国際労働者の日

5月4日                                                   仏誕節

5月8日                                                   王室始耕祭

5月14日                                                シハモニ国王誕生日

6月18日                                                モニク前王妃誕生日

9月24日                                                憲法記念日

10月13日、14日、15日                   プチュン・バン(お盆)

10月15日                                              ノロドムシハヌーク前国王記念日(命日)

10月29日                                              シハモニ国王即位記念日

11月9日                                                独立記念日

11月26日、27日、28日                   水祭り

 

前提として、2021年労働法改正により、週休(通常は日曜日)と祝日とが重複する場合における振替休日の付与義務は撤廃されています(上記合計21日中、8日が日曜日)。また、10月15日は重複して二つの祝日が定められていますが、同日についても振替休日等は付与を要しない趣旨と考えられます。したがって、合計21日を定めていますが、週休を日曜日としている企業の場合、実質は年間12日となります。

以上

2022年08月27日(土)11:45 AM

ラオスにおける経営不振金融機関に対する初動措置についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
経営不振金融機関に対する初動措置

ラオスにおける経営不振金融機関に対する初動措置について

2022年8月26日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景                            

7月に「マイクロファイナンス機関に関する首相令(詳細は、2022年7月18日発行ニューズレターをご参照ください)」が施行されました。ラオス中央銀行(以下、中銀)が発動する経営不振の金融機関に対する初動措置について、商業銀行法に規定がありますが、マイクロファイナンス業も含めその他の金融機関に対しても、より的確に実施する必要があるため、2022年5月16日付で中銀より、「金融機関に対する初動措置に関する中銀総裁の合意(以下、合意)」が発行されました。合意の対象となる金融機関は、商業銀行、預金型マイクロファイナンス機関及び貯蓄信用組合[1]です(合意第3条)。今回は、最も経営不振に陥っている金融機関に対する中銀の初動措置を中心に解説いたします。

2.経営不振金融機関とは

 中銀は、独自の方法により、金融機関の財政状況や経営状況を継続的にモニタリング、評価等を行い、定期的に金融機関の経営不振の程度を以下の3レベルにあてはめ、段階をつけています(合意第6条)。

  レベル1:経営不振の兆候あり

  レベル2:経営不振状態

  レベル3:経営破綻状態

  金融機関の状態がどのレベルに該当するかを判断するための材料(以下、判断項目)については、合意の第9条から11条に規定されています。レベルごとに多数の判断項目があり、1つでも該当する場合、そのレベルが付されるしくみになっています。

  例えば、次の判断項目の一つでも該当する金融機関は、最も経営状況が悪化している(レベル3)と評価されます(合意第11条)。                                   

(1)経営リスク又は内部統制の不備又は内部監査・会計の不備による財務状況の安全性へ悪影響又は債務の返済しきれない財務状況により、根本的に解決をしない限りさらに問題が発生し状態が悪化する状況

(2)安全性確保のために、中銀の指導にかかわらず、問題解決に成功していない状況

(3)中銀が規定する自己資本比率を25%~50%を下回る状況

(4)中銀が規定する不良債権比率よりも高く推移している状況

(5)当座比率が低く、債務返済能力がなく、預金者への支払いができず、状況を改善するために、恒常的に中銀より借り入れる必要がある状況

(6)2年以上、恒常的な赤字が続き、財務状況が悪化してる状況

3.中銀によるレベル3に対する初動措置について

    レベル3に対する初動措置は、中銀の判断により、以下の項目及びレベル2に対する初動措置項目(合意第13条)の中から、いくつかの措置が講じられることになります(合意第14条)。レベル3に対する初動措置は、全部で10項目ありますが、そのいくつかを例示します。

  1)事業活動範囲の制限

       2)大株主の権限の制限又は大株主の入れ替え禁止又は経営権を有している株主の入れ替え禁止

       3)経営権、幹部及び経営陣の刷新、リスクマネジメントの構築又は新しいパートナー探し

       4)中銀の許可なしに財産を売却することの禁止

       5)増資が実行できず、自己資本比率がさらに低下した場合の追加措置の検討等

4.初動措置実行の中銀による手続き

中銀は、金融機関に対して経営不振度のレベル、不備項目及び講じる初動措置とともに、金経営改善計画を立てるように文書にて通知します。金融機関は、中銀より通知を受け取ってから10日以内に経営改善計画書を提出す必要があります(合意第15条)。経営改善計画書は、金融機関の取締役会の承認が必要であり、外国資本の銀行の支店については、親会社の権限者による承認が必要となります(合意第16条)。

経営改善が計画通りに実施できず、経営不振度が改善されない場合は、中銀は破綻に陥った金融機関の経営改善規定に従って立て直しを図ることを検討します(合意第17条)

[1] 貯蓄信用組合事業については、2021年12月27日発行ニューズレターをご参照ください

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2022年08月16日(火)5:00 PM

カンボジアにおける訪問販売・非対面方式販売を対象としたクーリングオフ制度の導入についてニュースレターを発行いたしました。

PDF版は以下からご確認ください。

訪問販売・非対面方式販売を対象としたクーリングオフ制度の導入

 

訪問販売・非対面方式販売を対象としたクーリングオフ制度の導入

2022 年 8 月 16 日
One Asia Lawyers カンボジア事務所
日本法弁護士 吉田 重規

 カンボジア商業省は、2022 年 4 月 11 日付けでクーリングオフに関する省令第 113 号(以下、「本省令」)を施行し、施行日の 6 ヶ月後から適用が開始されることになりました(2022 年 10 月 12 日から適用)。
 一般的にクーリングオフとは、消費者保護を目的とし、商品・サービス等の販売契約後、一定の期間中、消費者に解約権を認める制度をいいます。日本におけるクーリングオフ制度は、訪問販売・電話勧誘販売などに対して適用があります。本省令では、これらに加え、Eコマースなど非対面方式の販売に対しても適用があり、より対象が広くなっていることに注意を要します。もっとも、下記の通り、種々の例外があります。
クーリングオフ期間(解約が認められる期間)は、売買契約などの翌日から 7 日間とされています。
 事業者には、書面による契約条件の告知義務、消費者の解約権を認める義務が課されており、また、違反に対しては罰則も定められているため、注意を要します。

1.対象となる取引
(1) 消費者を相手方とした取引
 消費者(個人、家庭、家族のために商品またはサービスを購入する者)を相手方とした事業者の取引に適用があります。事業者間の取引には適用がありません。
(2) 取引類型
 以下の(ア)(イ)のいずれかに該当する場合、適用対象となります。もっとも、(ウ)で述べる通り、例外が多く設けられています。
(ア) 非対面方式(隔地者間)の販売
 取引当事者が、事業者の事業所で直接顔を合わせることなく行われる商品・サービスの販売取引をいうとされます。
 電話による販売・E コマースなどの、事業者と消費者とが対面せず行われる販売取引が、これに該当します。
(イ) 訪問販売(Door-to-door Sales)
 事業者が、消費者の所在地・公共の場所などの、事業者の所在地以外の場所で行う商品・サービスの販売取引をいうとされます。
 典型的には、事業者が消費者の住居を訪問し勧誘、販売を行う場合がこれにあたります。

(ウ) クーリングオフの対象とならない取引
 以下の取引については、非対面方式・訪問販売方式でなされても、クーリングオフの対象になりません。
 ① 試用期間を定めた商品販売(民法 520 条)
 ② 以下に該当する商品の販売
 a. クーリングオフ期間中に、事業者の支配の及ばない金融市場の動向により、価格が変動する商品
 b. 受注生産品(消費者の注文に従い製造された商品 )
 c. 消費期限が短い商品(製造日から 30 日以下)
 d. 気候等の状況によって腐敗しやすい消費期限が 30 日以下の商品
 e. 消費者により包装が破かれ、衛生上の理由で返品ができない商品
 f. 飲料品の販売
 g. オーディオ、ビデオ、コンピュータプログラムの販売で、配送後に消費者によって包装が破かれたもの
 h. 新聞、チラシ、雑誌の販売(これらに関連する購読の場合を除く)
 i. 競売で販売される商品
 j. 消費者が所有するハードウェアに保存されていないデジタルコンテンツの販売で、クーリングオフに関する権利放棄を行った後に消費者が使用したもの
 k. 200,000 リエル(約 50US ドル )以下の商品の販売
 l. 無償提供された商品、値引き販売された商品
 ③ 以下に該当するサービスの販売
 a. クーリングオフ期間の終了前に、消費者から事前に書面によるクーリングオフに関する権利の放棄の同意を得て、サービスを完全に提供する場合
 b. クーリングオフ期間中に、事業者の支配の及ばない金融市場の動向により、価格が変動するサービス
 c. 消費者の住居での保守または修理を伴う緊急のサービスで、消費者が付属品の交換を特に要求したもの
 d. 宿泊施設、貨物の配送、車両のレンタル、ケータリングまたはレジャー活動に関するサービスで、特定の日時に提供されるもの
 e. すべての銀行業務
 f. 200,000 リエル(約 50US ドル )以下のサービスの販売

2.クーリングオフに基づく解約・返金
(1) 解約の方法
 クーリングオフ期間中、消費者は、事業者に対し事業者所定の方法に従い、事業者に対して書面で通知することにより、無条件で商品・サービス販売契約を解約することができます。消費者は、解約についての理由も説明する必要はありません。
 なお、消費者が商品を著しく棄損した場合等においては、消費者は解約することができなくなります。
(2) クーリングオフ期間
 クーリングオフ期間は、7 日間ですが、期間の開始日は取引の種類によって異なります。以下のそれぞれに該当する日の翌日から起算し、7 日間となります。
(ア) 非対面方式の販売
 ①サービスの販売の場合:契約締結日
 ② 商品の販売の場合:消費者またはその代理人(配達人を除く)が商品を受け取った日
 ただし 2 回以上に分けて配達される商品の場合、その最終の配達日
(イ) 訪問販売の場合:契約締結日
(3) 返金
 契約が解約された場合、事業者は、解約通知を受けた日から 7 日以内に、販売代金の全額を返金する必要があります。返品費用・商品破損の場合の費用など、例外として省令で定められているものを除き、解約に関する費用を消費者に負担させることはできません。
3. 事業者の義務
 クーリングオフの対象となる取引を行う場合、事業者には以下の義務が課されます。
(1) クーリングオフについての消費者の権利に関する情報の提供
 消費者のクーリングオフに基づく解約権の行使の機会を与えるため、商品・サービスの販売に際して、以下の各情報を提供することが義務付けられます。
 ① 解約のための書式とその提出方法
 ② 事業者の連絡先と、連絡手段(E メール等の電子的方法、またはその他の適切な手段)
 ③ 解約についての条件に関する情報(商品が未使用と同様の良好な状態であること等)
 ④ 返品により生じる費用についての情報
(2) 消費者の権利行使を認めること・代金の返金
 消費者がクーリングオフに基づく解約権を行使する場合、その権利行使を認めること、代金全額(返品費用・商品破損の場合の費用などを除く)を返金することが義務付けられます。
4. 罰則
 クーリングオフについての消費者の権利に関する情報の提供義務に違反した場合(上記3(1)への違反)、消費者保護法 48 条(情報提示義務違反に対する行政罰)の対象となるとされ、最大で 10,000,000 リエル(約 2,500US ドル)の罰金が科されます。
 事業者が、消費者に販売代金を返金しない場合、または消費者の解約権の行使に関して損害賠償などの請求をした場合は、消費者保護法 44 条に定める不公正な行為とみなされます。これらは、同条に基づき、最大で 50,000,000 リエル(約 12,500US ドル)の罰金の対象となります。

2022年07月18日(月)8:03 PM

ラオスにおけるマイクロファイナンス業の外資規制緩和についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
マイクロファイナンス事業外資規制緩和について

ラオスにおけるマイクロファイナンス業の外資規制緩和について

2022年7月18日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景                            

 ラオスにおいてマイクロファイナンス事業(以下、MFI)を規定する法令は2012年発行の「マイクロファイナンス機関に関する首相令(No.460)」がありますが、外資制限率は明確に言及されていませんでした。その後、2016年に「マイクロファイナンス機関に関する首相令実施のための細則(No.01)」が発布され、預金型および非預金型マイクロファイナンス事業において、外国人投資家は登録資本金の最低10%以上最高30%まで株式を所有することが可能であると明記されました。

ここ数年、MFIの外資規制が緩和される可能性があることをラオス中央銀行へのヒアリングを通して耳にしていました。そうしてようやく、ラオス政府は2012年発行の首相令を10年ぶりに改正し、2022年6月20日付で「マイクロファイナンス機関に関する首相令(No.184)(以下、首相令)」を発行、同年7月12日に官報に掲載、15日後に施行されます。

今回は、改正点を中心に解説いたします。

2.マイクロファイナンス機関の設立とライセンス取得

MFIの設立においては、必要書類を揃えて、商工業省において、企業登録証の発給を受けたあと、ラオス央銀行(以下、中銀)において事業許可証(以下、事業ライセンス)を取得する必要があります(首相令第7条)。

首相令第8条に記載の事業ライセンス申請に必要な書類が完全に揃い、下記の条件を満たした事業者に対して、中銀は30日以内に事業ライセンス発行を許可すること(仮許可)を通知します(首相令第9条)。

条件1  資金が十分にあり、関係法令の定めを満たしていること

条件2  Feasibility Studyが完成していること、事業の実現性があること

条件3  株主及び経営者が、金融関係の犯罪で起訴されたことがないこと

条件4  経営者が、金融関係、銀行等のマネージメントの経験を有していること

上記1から4の条件を満たした事業者に対して、事業ライセンスの許可通知後、中銀は、さらに以下の5から7の条件を満たしている事業者に対して、正式な事業ライセンスを90日以内に発行します(首相令第9条)。

条件5 登録資本金の振り込みが完了していること

条件6 条件に見合った人材が確保できていること

条件7 事業に必要な設備(店舗、機器、システム機械等)が揃っていること

中銀は、上記の条件を満たしていない事業者に対して、90日間の改善期間を与えますが、それでも改善されない場合は、事業ライセンスの発行拒否通知を出します(首相令第9条)。

事業ライセンスの有効期限は、事業実施期間中となっており、更新等の必要はありません(首相令第13条)。

3.登録資本金、外資規制について

 今回の改正により、下記の表の通り、外資規制が緩和され、特に非預金型の場合は、外資100%でも事業への参入が可能となりました。なお、首相令が改正される前に設立したMFIは、首相令施行後2年のうちに、首相令に従った会社形態へ移行する必要があります。

 

MFIの形態

預金型

非預金型

会社構成

・株主総会

・取締役会

・内部監査委員会

・取締役委員会

・下部組織

※預金型の場合は、一人株主会社は認められません(首相令第18条)。

※定款は、株主総会及び中銀により承認される必要があります(首相令第12条)

外資規制

外資51%まで

(首相令第10条)

外資規制なし

(首相令第68条)

最低登録資本金

30億キープ         現物出資の場合は、登録資本総額の10%以下(首相令第11条)

10億キープ

現物出資の場合は、登録資本総額の10%以下(首相令第69条)

事業範囲

・預金

・小口融資

・決済事業、担保、保険代理店、その他中銀が認めた金融事業(首相令第30条)

・小口融資

・決済事業、担保、保険代理店、その他中銀が認めた金融事業(首相令第72条)

上限金利

2021年6月4日付のニューズレターをご参照下さい

 

4.会社構成について

(1)株主総会(首相令第18条、19条)

株主総会は、最低1年に1回、年次会計を閉じた後、遅くても4月までに開催する必要があります。その他の条件は、会社法に基づきます。

(2)取締役会(首相令第21条)

 取締役会は3人~7人を構成員とします。少なくても、一人は社外役員を取締役とする必要があります。社外取締役は選挙により選出、あるいは年次株主総会で任命されます。任期は3年で、再選出も可能です。また、取締役会は最低3か月に1度開催しなくてはなりません。

(3)内部監査委員会(首相令第24条)

 委員会のメンバーは3人以上です。そのうち一人は会計業務の経験がある必要があります。メンバーは選挙により選出、あるいは取締役会により任命されます。

(4)取締役委員会(首相令第26条)

委員会のメンバーは、マネージング・ダイレクター(MD)及び副MDより構成されます。

 MDは選挙により選出、あるいは取締役会で任命されます。任期は3年で、再選出も可能です。また、副MDは、MDからの推薦の下、取締役会により任命されます。

5.禁止事項

1.外貨で事業を行うこと

2.金融機関以外の個人や法人からの借入れ

3.特定の顧客(会社役員の家族、親戚等)に対して特別なサービスを提供すること

4.融資を行った顧客で、返済が滞っている場合、新規で融資を行うこと

5.他の会社の株主となる場合、一つの会社に対して5%を超えて株式を保有すること。また、他社の株式を会社全体で30%以上保有すること等

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2022年07月13日(水)5:46 PM

カンボジアにおける労働法上の労働者に対する年金制度の開始についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

労働法上の労働者に対する年金制度の開始

 

労働法上の労働者に対する年金制度の開始

2022年7月11日
One Asia Lawyers カンボジア事務所
日本法弁護士 吉田 重規

2022年7月より、労働法上の労働者を対象とした年金制度が開始されました。

この年金制度は、2019年11月制定の新社会保障法、2021年3月4日の政令32号に基づき概要が決定されていたものですが、コロナ禍による企業運営の困難等を考慮し、施行が延期されていたものです。

年金制度の開始は本年7月1日からとされ(本年6月28日付け労働省・経財省共同省令165号)、年金保険料の支払開始は本年10月分から(11月15日が初回の支払期限)とされました(本年7月5日付け労働省令170号)。また、国家社会保険基金(NSSF)への登録および社会保険料支払いの詳細も定められました(本年7月5日労働省令168号)。

1.導入された年金制度

労働法に服する労働者、すなわち企業の従業員等を対象とした強制加入の年金制度です[1]

国家社会保険基金(NSSF)が所管しており、NSSFに対し、使用者・従業員の双方が登録する必要があります。もっとも、既存の社会保険制度としては健康保険、労働災害保険があり、これらについてNSSFに登録済みの場合は、年金について別途の登録は不要です[2]。新規に雇用した従業員がNSSFに登録していない場合、使用者は、雇用開始後3日以内に登録させる必要があります。

2.年金保険料の算定・納付、関連事項

(1) 年金保険料の算定

年金保険料は、給与(基準給与額)に保険料率を掛けて算定することになります。

① 基準給与額
賃金および諸手当を含んだ各月の給与額(税引き前)になります(労働法上の賃金、同法103条1項)。
ただし、③の通り上限額と下限額があります。なお、この基準給与額は、年金・健康保険・労災保険の給付額の算定の場面でも使用されます。

② 保険料率
基準給与額の4%で、使用者と労働者の各2%均等負担となります。
当初5年間は固定ですが、6年目以降は8%に、その後は10年ごとに2.75%ずつ増額することが予定されています。

③ 下限額と上限額
保険料は、給与額にかかわらず、下限額と上限額があります。
【下限額】基準給与月額の下限額 :400,000リエル(約100USD)
 → 月額給与が400,000リエルを下回る労働者についての保険料:
     400,000×4% = 計16,000リエル、労使各8,000リエル(計4USD、各2USD)
【上限額】基準給与月額の上限額:1,200,000リエル(約300USD)
 → 月額給与が1,200,000リエルを超える労働者の保険料:<
   1,200,000×4% = 計48,000リエル、労使各24,000リエル(計12USD、各6USD)

(2) 年金保険料の納付

使用者は、自らの負担分と合わせて、労働者負担分の年金保険料を徴収し、合計額をNSSFに対し納付する必要があります。これは、健康保険・労災保険の保険料と同時に行うものとされ、各月のこれら保険料合計額について、翌月の15日までに納付することを要します。

納付方法は、銀行振込、インターネットバンキング等による支払いが可能です。

支払はクメールリエルにより行う必要があり、給与がUSドル等の外貨での支給の場合、中央銀行の平均レートに基づきNSSFが通知するレートに基づき換算し納付します。

また、各月、翌月の20日までに、NSSFに対して従業員数等の報告を行う必要があります。

(3) 社会保険料納付に関する変更点

従来、健康保険・労災保険の保険料について、実支給額ではなく賃金テープルに基づき計算するものとされていました。しかし、新省令にはこの賃金テーブルの記載が無く、実支給額ベースで計算することになると考えられます。

また、新省令では、NSSFに申請することで年度単位での一括納付ができるとされています。その場合、申請の翌月に当該年度分の保険料を一括で納付し、翌年初にNSSFが差異を調整するものとしています。もっとも、実務における詳細は現時点では不明です。

(4) 社会保険料金額の概要

年金に健康保険・労災保険とあわせた社会保険料金額は、以下の表の通りです。

 

使用者負担

従業員負担

健康保険

2.6%

労災保険

0.8%

年金

2%

2%

合計

5.4%

2%

下限額(人/月)

約5.4USドル

約2USドル

上限額(人/月)

約16.2USドル

約6USドル

3.年金制度に基づく給付

年金制度に基づく給付は、概要、次の表の通りです。

 

受給条件

支給額

老齢年金

ž   年金登録されていること

ž   最低60歳以上であること

ž   12か月以上、年金保険料を支払っていること

受給資格取得前の期間(最大120か月)の平均基準給与額

 × 積算掛率(政令32号別表)

障害年金

ž   年金登録されていること

ž   障害状態に陥る前に60か月以上、年金保険料を支払っていること

受給資格取得前の期間(最大120か月)の平均基準給与額 

 × 積算掛率(政令32号別表)

遺族年金

ž   老齢年金または障害年金の受給資格のある者、または60か月以上保険料を支払ったNSSF加入者の死亡

ž   遺族(配偶者、子)に対して支給

ž   死亡した者の老齢年金または障害年金受給額の45%

ž   配偶者・子に対して50%ずつ分割して支給(一方のみの場合100%)

葬儀手当

ž   老齢年金または障害年金の受給資格のある者の死亡

ž   遺族年金の受給資格者または葬儀を手配した者に対して支給

ž   5か月分の年金額

ž   ただし、下限は2,000,000リエル(約500USD)

以上

[1] 使用者が保険料の支払義務を負わない60歳以上の従業員等のための任意加入の保険制度も導入されましたが、本レターでは扱いません。

[2] 仮に登録していない場合は省令発布日の7月5日から、新規設立の企業・事業所の場合は労働省への事業所開設申告の時点から、30日以内に登録が必要となります。

2021年08月13日(金)12:48 PM

ラオスにおけるリース業法令の改正についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

リース業法令の改正について

 


ラオスにおけるリース業法令の改正について

 

2021 年8月13日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

ラオスにおけるファイナンス・リース等の金融リース業法規制としては、1999年の首相令(Decree on Financial Leasing(No11/PM))がありましたが、5、6年前から改正案に関する会議が行われてきました。そして、ようやく2021年7月2日付でリース業に関する首相令(以下、「リース業法」)が発行、2021年7月30日に官報に掲載、15日後に施行される予定となっています。

なお、すでにラオスでリース業を行っている会社は、施行後2年以内に、同リース業法に則った業務形態へ移行する必要があります。

今回は、ラオスにおける新リース業法を基礎に、対象となる取引の形態及びリース会社設立の概要をご紹介いたします。

  • 2.法律上の定義

リース業法第2条によれば、リース業とは、「機器や機械設備等のリース物件をリース会社が直接提供し、又はリース物件の調達人となり、借手に賃貸すること」と定義されています。なお、リース物件は、改正前は、目的物となり得る「動産又は不動産」と定義されていましたが、改正後は、「動産」のみとなっている点に留意が必要です(リース業法第3条4項)。

  • 3.リース業の種類について

リース会社は、以下の3種類の取引が可能となっています(リース業法第6条)。これらのいずれかを行う場合、その事業者は、リース業法の対象となります[1]

①ファイナンス・リース

②オペレーティング・リース

③ハイヤーパーチェイス[2]

リース業法第6条によれば、上記3種類の取引の特徴は次のとおりです。

種類

契約期間

所有権

維持管理

契約満期後

①   ファイナンス

・リース

中・長期

リース会社

借手(占有権、使用権)

①返却

②買取

③契約更新

(再リース)

②オペレーティング

・リース

合意した期間

リース会社

リース会社

①返却

②契約更新

(再リース)

③ハイヤーパーチェイス

合意した期間

借手(割賦払い完了後に所有権移転)

借手

所有権移転

 

  • 4.リース契約内容の概要について

リース契約の基本的な内容は以下の通りとされており、書面で作成する必要があります(リース業法第10条)。

1.リース物件の詳細、例えば、種類、年式、シリアルナンバー等

2.リース物件の価格、リース料、リース料と支払額の計算方法

3.リース期間

4.損害又は修理が必要な場合の契約条件

5.保険(もしあれば)

6.契約不履行規定及び罰則規定(もしあれば)

7.紛争解決規定

8.契約終了又は解除規定

9.その他、両者の必要合意事項

ファイナンス・リースの場合は、上記の項目以外に、金利(ハイヤーパーチェイスの場合も同様)、期限満了後のリース物件の選択肢(返却、買取、再リース)を記載する必要があります。

また、1億キープ(約10,000米ドル)以上の契約の場合は、公証役場で認証する必要があると明記されておりますので、留意が必要です(リース業法第10条)。

  • 5.契約の履行について

借手がやむを得ない理由により支払いができない場合、例えば、遠隔地へ出張、病気などの場合は、リース会社に文書で通知する必要があります。しかし、上記理由が解決した後、15日以内に、借手は、リース料の支払いを精算しなくてはなりません。

借手が、リース料を期日に従って3回続けて支払わなかった場合、リース会社は、30日以内に支払うように知らせる必要があります。借手が、上記で定めた期日以内に支払いが行われなかった場合、リース会社はリース契約を解除することができ、また、リース物件の返却を借手より受けることができます(リース業法第13条)。

  • 6.リース会社の設立について

リース業法第16条によれば、リース会社を設立しようとする者は、商工省、都・県商工局等で企業登録を行った後(一人株主会社の形態は、認められません)、ラオス中央銀行(以下、中銀)より事業許可書を取得する必要があります。事業許可取得に必要な書類の中には、実現可能性調査(Feasibility Study)をはじめ多くの書類を要求されますが、すべてラオス語で作成する必要があります。なお、通常の会社と異なり、定款は中銀より承認を受けた後に有効となりますので、ご留意頂く必要があります。

(1)登録資本金

最低登録資本金は、50億キープ(約50万米ドル)以上と規定されています。現物出資は許容されていますが、登録資本金額の10%を超えることはできません(リース業法第17条)。

(2)取締役会・取締役委員会

取締役会の役員は3人以上と規定されています。任期は3年間で、再任も可能となっています(リース業法第23条)。取締役委員会も義務化されており、マネージング・ダイレクター(MD)、副MDから構成される必要があります(リース業法第26条)。

  • 7.事業許可取得要件

企業登録後、事業許可書に必要な書類を揃えて、中銀に提出後、15日以内に審査結果が通知されます。中銀は書類の審査と同時に、申請者が以下の要件を満たしているかどうかについても審査します(リース業法第16条)。

(1)資金原が十分かつ明確であること

(2)実現可能性調査内容に説得力があり、実行可能であること

(3)役員の金融に関連する経験、知見が十分であること

(4)株主に刑事事件履歴がないこと

中銀は、申請者が上記の要件を満たし、さらに下記の要件も満たしていると判断した場合、45日以内に事業許可証を発行します。許容できる理由により、下記の要件のいずれかを満たしていない場合、中銀は、さらに45日間、要件を満たすまで猶予を与えます。

(1)登録資本金の払い込みが完了していること

(2)人員の配置がある程度整っていること

(3)事業の実施を保証する機器、技術、場所が整っていること

(4)事業の実施、監督、管理システム等内部環境が整っていること

8.最後に

2017年5月18日に中銀より、「ラオスにおける金融関連事業に関する事業ライセンスの発行一時停止」が発行され、2019年2月まで、新規会社設立のための申請書は受理しないことが通知されていました。しかしながら、許可を得ないで金融業を行っている会社(特にマイクロファイナンス事業)が多く存在し、法令を整理する必要があることから、2019年2月以降も、中銀は、金融業の事業申請書を受理しない方針にあり、いつ解除になるのか不明な状態が続いていました。しかしながら、リース業については、中銀でのヒアリングによれば、リース業法の改正及び施行により、申請書の受理および事業許可書の発行が開始される見込みとのことです。

[1] 文言上、対象となる取引は広範に及んでいますが、実務上どこまで適用対象となるかは中央銀行等の関係当局の判断によると想像されます。

[2] ハイヤーパーチェイス契約については、民法第414条から第417条においても規定が存在しております

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2021年06月04日(金)11:51 AM

ラオスにおける金融関連規制についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

金融関連規制について

 

ラオスにおける金融関連規制について

 

2021 年6月4日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 今回は、 弊所にてよく質問を受ける金融関連規制についてQ&A形式で解説しております。 

    Q1.金融機関が定める上限金利はありますか?

     金利に関しては、以下の通り、民法に定めがあります。

    <民法第431条の規定>

    利子の計算に関する合意がある場合 、 合法的に登記された商業銀行またはその他の金融機関からの借り入れに対する利子 は、貸与した商業銀行または金融機関の規則 に従って履行しなければならない。 商業銀行またはその他の金融機関 以外からの借り入れにおいては 、 利子の計算は 年率 36% を 超えてはならない 。

    しかしながら、民法によると、商業銀行またはその他の金融機関は、各金融機関の規則に従うと書かれているのみで、具体的な上限は書かれていません。そこで、ラオス中央銀行(以下、BOL)に金融機関の金利に関する規定を問い合わせたところ、マイクロファイナンス業(以下、MFI)に関しては、以下の二つの通知に準ずるとの回答を得ています。

    なお、リース業につきましては、上限金利に関する規定は存在していないとの回答を得ております。従いまして、特段の例外的な許可等がない場合は、民法第431条が適用されると考えます。

    1.2020年5月20日 BOL合意(No319)
    MFIの上限金利は、商業銀行の年間金利の平均値の4倍を超えないこと。

    2.2021年1月6日付 BOLのMFI管理局からの通知(No03)
    ①商業銀行の年間金利平均値は、9.82%
    ②MFIの年間金利は、39.28%/ (9.82%×4倍)を超えないこと。
     月間金利は、3.27% (39.28÷12カ月)を超えないこと。

    上記金利は、2021年1月1日から2021年6月30日まで有効となっており、半年ごとに更新されます。上記規定に違反した場合の罰則については、指導、警告、罰金、さらに3回目の警告でも改善されない場合は、事業の停止又は事業許可のはく奪の可能性もあります。

    Q2 ラオスでは、複利は禁止されていますか?

    民法に「消費貸借については、利子を元本に組み入れることはできない」という規定があります。この意味は、当初の元本に対してのみ、利息が計算される方法ではなく、一定期間ごとの利息を元本と合算させた元本に対して利息を計算する行為、すなわち「複利」のことを指していますので、複利は禁止されていると解釈されます。
    なぜ、ラオスでは複利が禁止されているかという点につきまして、民法典の草案にかかわった専門家に確認したところ、ラオスは、高利貸しが社会問題化している背景があり、金融機関等の債権者の経済取引の自由の保護といった観点からではなく、債務者の保護に重点を置いていおり、そのような態度は、ラオスの政治体制や文化に根差しているのではないかとのコメントを得ています。

    Q3 担保権を有する物を売却するときには、売却価格等を債務者等に事前に通知する必要がありますか?

    2011年に発行された「契約履行担保法の実施に関する首相令(No178 )」 第43条に担保権を有する動産の処分等についての規定が以下の通りあります。

    「合法的に占有した担保財産を担保契約に従い、売却、貸与又は購入する場合その10日前までに、債務者等に通知する必要がある。但し、劣化が早い財産については、通知する必要はない。なお、民事裁判の場合は、判決に従うことになる」

    なお、不動産の場合、債務者への通知は、15日前までとなります(第67条)。


    Q4 ラオスで不動産の担保提供を契約書に明示する場合、何を記載すれば特定できますか?

    民法第522 条に 「担保に供する物は、契約において特定される形で記載しなければなら
    ない」とありますが、具体的に何を明示すれば、特定されるのかは、明言されておりません。
    この点、現在のラオス実務では、土地の場合、少なくても土地権原書(バイターディン)に記載されている情報 を最低限書く必要があり、それに加え、土地の価格、土地の上のある建物、木の情報など、情報は多ければ多いほどよいとされています。
    特定の観点からいえば、対象となるバイターディンを別添するだけでも十分のように思われますが、ラオスは土地に関するいろいろな問題が存在しているため、できる限りの情報を記載することが推奨されます。
    また、借地の場合は、所有者(地主)との契約書のコピーや地主からの合意書を添付することも重要となります。
    なお、土地を担保とする場合は、担保契約書とバイターディンを天然資源環境省で登録する必要があります。土地の上に建つ建物や家のみを担保にすることは、登記制度がないため 、問題が生じる可能性が高く、必ず土地と建物はセットで担保設定するよう、留意する必要があります。

以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
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2021年01月05日(火)7:17 PM

カンボジア建設法令に関するアップデートについてニュースレターを発行いたしました。

PDF版は以下からご確認ください。

カンボジア建設法令について

 

カンボジア建設法令に関するアップデート

2021年1月5日

One Asia Lawyersカンボジア事務所

2020年12月30日、建設法に関する下記3つの政令が発出されました(クメール語版のみ)。

いずれも重要な政令になりますので、注意が必要です。

・建築許可に関する政令224号

(Sub-Decree on Construction Permit)

・建築検査及び認証手続に関する政令225号

(Sub-Decree on the Conditions and Procedures for Construction Inspection and Certification)

・利用許可証の停止及び取消しの条件並びに手続に関する政令226号

(Sub-Decree on the Conditions and Procedures for Providing Suspension and Revocation of Construction Use Certificates)

詳細につきましては、下記、土地管理都市計画建設省のホームページをご確認ください。

https://l.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Fwww.mlmupc.gov.kh%2F%3Fpage%3Ddocument%26menu1%3D262%26ctype%3Darticle%26id%3D262%26lg%3Dkh%26fbclid%3DIwAR2F0v4rPSOnmB3irgY3FaWg90B_27f_3El9XqoY02MucsQm5BWZtLXD0P8&h=AT2gzh64I20YRi-jNtprVMoycAFkmhAmDwBsvCv9ULyOexChwuSQPUKRUufkJdUqPjyiEoD2nSVOWb8c3YelciD8jKx8wCKHTMWG4_8iEHGL5P–axInap6WLLVdPemBiWP8WYuazQ&__tn__=-UK-R&c[0]=AT2TDaHjNGOVyyFjpd0KnS0JvQSTqhOxpGM06s0ccXCjFQ8KBm3FWKDQE_HUPbgClD1bJNhVvkGh5SGKLzW5NpcZDNWJBuSmYkLn6aX_oS6RHD1icrRjDPmhgSNlvOIgaBJNtuNxQECikHLNpO_JfkEy6KlhMbiRmDKhDzisOVlblBajbkDTIaLLAm4uu6_ywgRnv-FC38Q7nfI7VCrDezrPsQ

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

shigeki.yoshida@oneasia.legal

2020年12月25日(金)12:34 PM

ラオスにおける信用保証会社についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ラオスの信用保証会社について

 

ラオスにおける信用保証会社について

2020 年12月25日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1. 背景
2020年9月のニュースレターにおいて、民法典に基づいた担保制度について解説いたしました。その中で、人的担保制度について述べましたが、それと関連して、2020年12月21日付けで信用保証会社に関する合意(以下、「本合意」)が中央銀行から発行されましたので、概要をご紹介いたします。

2. 法律上の定義
本合意第3条によれば、信用保証会社が提供するサービスとは、「債務者が債権者に対して契約に基づいて債務が履行できなくなった場合、債務者に代わって清算することを保証するために債権者に対して信用保証書を発行することにより、債務者の義務を保証するサービス」と定義されます。

3. 会社設立について
信用保証業者に関する許可取得要件は次の通りとなっています。

(1)登録資本金
最低登録資本金は、1,000億キープ(約1,000万米ドル)以上と規定されています。現物出資は許容されていますが、登録資本金額の25%を超えることはできません(財産評価会社による評価額を基準として判断)。また、登録資本金は、ラオス中央銀行の口座に預金する必要があります(第12条)。

(2)取締役会
取締役会は、議長、副議長、役員(取締役)より構成されます。役員は5人以上、7人以下と規定されています。役員の中から、マネージング・ダイレクター(MD)及び副MDを選出する必要があります。なお、MDは取締役会の議長、副議長になることはできません。なお、任期は3年間で、再任も可能となっています(第18条)。

(3)取締役会監督委員会及びリスクマネジメント委員会
リスクマネジメント委員会は、取締役会の役員から3人選出され、その中の一人は取締役会監督委員会の委員長である必要があります(第20条、第21条)。

4. 事業許可取得要件
本合意第7条によれば、信用保証会社を設立しようとする者は、商工省、都・県商工局等で企業登録を行った後、ラオス中央銀行金融機関管理局(以下、「金融局」)より事業許可書を取得する必要があります。事業許可取得に必要な書類の中には、FSをはじめ多くの書類を要求されますが、すべてラオス語で作成する必要があります。

また、合弁契約書・株主間契約書、定款は、公証役場又は登録機関で認証・登録済みであること、外国語からラオス語へ翻訳した文書については、公証役場又は翻訳会社からの認証があることが求められています(第8条)。

なお、金融局は、完全に揃った書類を受理後、30日以内に審査結果を通知します。金融局は書類の審査と同時に、株主としての以下の要件を満たしているかどうかについても審査します(第9条)。

<株主が法人の場合(第10条)>
(1)3年以上利益が継続して出ているビジネス(利益が継続して出ていること)及び累積赤字でないこと
(2)財政状況が安定していること
(3)自身の会社の株主構成が明確であること
(4)マネーロンダリング又はテロ資金供与に関わるブラックリストに登録されていないこと

<株主が個人の場合>
(1)資金源が十分かつ明確であること
(2)大株主(10%以上保有)の場合、適切な資格と実務経験を有していること
(3)刑事事件に関する犯罪歴(横領、詐欺等)がないこと
(4)マネーロンダリング又はテロ資金供与に関わるブラックリストに登録されていないこと

5. 事業内容
信用保証会社は、保証業務のほかに、ラオス中央銀行及び関連する機関より許可を得た別の事業を行うことが可能です(第25条)。
信用保証会社は、個人に対しては、登録資本金額の最大15%、信用運用資金の最大80%を保証範囲とすることが定められています。他方、グループに対しては、登録資本金額の最大20%までが保証範囲となっています。
また、保証額総額は、登録資本金の最大15倍までと規定されています(第26条)。

6. 罰則規定
本合意の規定に違反した場合、2回目の警告と同時に200万キープから2,000万キープ又は1日100万キープの罰金が科せられます。3回目の警告の後、是正されない場合は、180日間の事業停止又は会社役員の除名等を中央銀行より命じられます。それでも、改善されない場合は、最終的には事業許可証のはく奪及び会社の清算が命じられる可能性があります(第49条)。

 

以 上

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2020年06月19日(金)10:28 AM
6月2日付け労働省通達18号により、2020年度の年功補償の支払いが、2021年まで延期されることとなりました。
その概要について、ご紹介いたします。
 

カンボジアにおける2020年度の年功補償の支払い延期について

 

2020 年度年功補償の支払い延期について

2020年6月10日
One Asia Lawyers カンボジア事務所

 6月2日付け労働省通達 18 号により、2020 年度の年功補償の支払いが、2021 年まで延
期されることとなりました。

 本通達以前に、本年 4 月 7 日付の政府プレスリリースにより、新型コロナウイルスによる
経済状況悪化の救済策として、事業者に対し、2020 年の年功補償支払いの延期を認める旨
の発表されていました。本通達は、基本的にそのプレスリリースを踏襲したものです。
具体的には、下記の 2020 年の年功補償金の支払いについて、2021 年まで延期するもの
とされました。
1.無期労働契約に基づいて縫製・製靴業に従事する労働者に対する 2018 年以前の年功補
償の遡及支払分
2.無期労働契約に基づいて従事する労働者(全産業)に対する 2020 年の年功補償
 ただし、この延期期間中に、労働者の重大な契約違反による解雇または労働者の自主退職
以外の事由によって雇用契約が終了した場合、使用者は当該労働者に対して、上記の年功補償金を支払わなければならないとされています。

 本通達は、支払い時期を延期するのみで、2020 年度の年功補償の発生自体には影響をし
ません。したがって、会計上引当金を計上することは必要となります。また、上記で触れら
れていますが、解雇の場合についてはその時点での支払いの必要があります。
 また、本通達は、2020 年度の年功補償のみに言及しているため、本通達を含む現時点の
法令を前提とすると、2021 年度に 2020 年度と 2021 年度の 2 年分の合計を支払うことにな
ります。

※ 年功補償
 年功補償とは、2018 年の労働法改正により 2019 年から導入された労働者に対する手当
ての一種です。無期労働契約の労働者に対して、雇用継続1年につき、15 日分の賃金など
の相当額を支払う必要があります。支払い時期は、上半期(1 月から 6 月)と下半期(7 月
から 12 月)の年2回です。

 ①2018 年以前の雇用期間を対象とした年功補償と、②2019 年以降の雇用期間を対象とし
た年功補償の二つがあります。このうち①について、縫製・制靴業以外の産業はそもそも支
払い時期が未到来のため(2021 年 12 月期以降)、縫製・制靴業のみを対象に延期するとし
ているものです。

以 上

本記事に関するご照会は以下までお願い致します。
nobuaki.murakami@oneasia.legal
shigeki.yoshida@oneasia.legal

 

 

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