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2021年05月10日(月)3:30 PM

タイ国 個人情報保護法(PDPA)の施行延期を定める勅令について報告いたします。

PDPAの施行延期を定める勅令について

 

タイ国 個人情報保護法(PDPA)の施行延期を定める勅令について

2021年5月10日

One Asia Lawyersタイ事務所

 

2021年6⽉1⽇に予定されていたタイ国個⼈情報保護法(PDPA)の施⾏を2022年5⽉ 31⽇まで再度1年間延期する旨の勅令が発⾏されました。
施⾏の再度の延⻑の理由としては、
1)PDPA が定める規則、⽅法、条件に従った運⽤が複雑で詳細であること、
2)同法が意図する通りに効果的に個⼈情報を保護するためには⾼度な技術の使⽤が求められること、
3)コロナウィルスが未だ収束せず、経済・社会に⼤きな影響を与えており、タイ全⼟、官⺠問わず、その運⽤準備が整っていないことなどがその理由として挙げられています。
この再度の延⻑期間中に、同意書のフォーマットや個⼈データの国外移転の適法化⽅法、その他の下位規則、ガイドラインが定められることが想定されます。
今後はこれらの情報を収集しつつ、これまで準備してきた PDPA 対応体制をアップデートし、来年の PDPA 施⾏に向けた準備を進めていく必要がございます。
当事務所も、PDPA に関連する情報を収集し随時発信して参ります。
なお、末尾にタイ語原⽂を添付しておりますので、ご参考までに参照下さい。。

 

以 上

 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

masaki.fujiwara@oneasia.legal(藤原 正樹)
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)


2021年05月06日(木)9:35 PM

タイにおける債権回収と倒産の対応の実務(第8回)について報告いたします。

債権回収と倒産対応の実務(第8回)について

 

タイにおける債権回収と倒産対応の実務 第8回

2021年5月6日

One Asia Lawyersタイ事務所

第8回 タイの仲裁機構での仲裁手続について  その1

前回までは、タイにおける裁判制度や債権回収のポイント、保全手続、判決に基づく強制執行手続きについて紹介してきた。今回は裁判以外での紛争解決手続きである仲裁機構による仲裁手続について紹介する。

1 仲裁について

 仲裁とは、当事者間の紛争について、当事者により選任された第三者(仲裁人)の判断に従うことを合意する紛争解決制度をいう。仲裁には、合意した仲裁機関において行う仲裁である機関仲裁と仲裁機関を選択せず当事者で合意した仲裁規則にしたがって行うアドホック仲裁があるが、アドホック仲裁は、手続き進め方や仲裁人の選任を当事者のみで決めることになるので、仲裁人の選任や仲裁手続の管理に困難が生じることが少なくないので、一般的には機関仲裁による仲裁が選択される。

 裁判と異なる点は、裁判は裁判所が公開の法廷で審理を行い訴状の請求を認めるか否かを判断し判決は公開されるのに対し、仲裁手続は、仲裁機関が非公開の場で申立書の請求内容について判断され、その仲裁判断は原則として公開されない点である。また、裁判を行うには、当事者間の同意は不要だが、仲裁手続を利用する為には紛争当事者の同意が必要となる。さらに、裁判所での手続費用は請求額が大きくないかぎり高額となることは少ないが、仲裁手続では私人である仲裁機関が行うため仲裁人の費用が発生し、裁判所での手続費用に比べ高額になるのが一般的である。

 加えて、実務上、最も重要な相違点は、タイの裁判所で判決を取得したとしても、タイはハーグ条約を批准しておらず、かつ、外国判決の承認に関する規定もないので、タイ国外でこの判決にもとづきタイ国内にある財産に強制執行することができないのに対し、仲裁については、タイは外国仲裁判断の承認及び執行に関するニューヨーク条約を批准しているので、日本や中国、シンガポールなどのニューヨーク条約を批准している国で、その仲裁判断にもとづき強制執行することができる点である。

 なお、国外の仲裁機関において下された仲裁判断にもとづき、国内の財産に強制執行するためにはその財産がある国の裁判所において承認を受けた上で執行を申し立てる必要がある。

2 タイの仲裁機関

  タイでは、1985年国際商事仲裁に関する国連国際商取引委員会(UNCITRAL)モデル法に準拠したタイ仲裁法により規律されている。タイにおける主な仲裁機関は、Thai Arbitration Institute (TAI)、Thailand Arbitration Center (THAC)の2つの機関である。

 TAIは、1990年に設立されたタイの司法省(Office of the Judiciary)の監督下にある仲裁機関であり、仲裁手続の取扱いがもっとも多い。

 また、THACは、2007年に設立された比較的新しい仲裁機関であり、タイにおける国際仲裁の促進を目的として設立された仲裁機関であり、Singapore International Arbitration Center(SIAC)の仲裁規則をモデルとした独自の仲裁規則を持っている。

 TAI、THACともに、仲裁の対象となる係争の経済的価値に応じた仲裁人報酬が発生するが、THAIでは、経済的価値に応じた仲裁管理費用が別途必要となる。

 なお、Thai Commercial Arbitration Committee of the Board of Trade of Thailand(TCAC)は、タイ国がニューヨーク条約を批准するにあたり設置された最初の仲裁機関であるが、現在はあまり利用されていない。

TAI

THAC

司法省が監督

1990年の設⽴から30年の実績

⾮政府組織

2007年設⽴、⽐較的、新しい仲裁機関

外国⼈仲裁⼈はある程度充実

外国⼈仲裁⼈はある程度充実

仲裁人の70%以上は裁判所OBといわれている

仲裁人は弁護⼠事務所で勤務する等の実務者が⽐較的多い

裁判所での⼿続を踏襲

⽐較的に柔軟な設計(SIAC、HKIACを参考)

仲裁管理費用なし

仲裁管理費用あり

THACと⽐較すると、費⽤は低廉

TAIと⽐較すると、費⽤は⾼額

取扱件数はTHACよりも多い

取扱件数はTHACより少ない

3 仲裁手続にかかる費用

 仲裁手続費用と主要な費用である仲裁人費用の概要は以下のとおりである。実際の手続きでは、仲裁人費用以外にも申立時の費用やTHACについては仲裁管理費用などその他の費用が発生する。

(1) TAIの仲裁人費用

 TAIのWEBサイト(https://tai.coj.go.th/th/content/article/detail/id/46/iid/70)によれば、仲裁人1名の場合の大凡の仲裁人費用は、紛争額が200万バーツの場合3万バーツ、紛争額が500万バーツの場合6万バーツ、1000万バーツの場合10万バーツ、2000万バーツの場合16万バーツ、5000万バーツの場合25万バーツとされているが、事案に応じて仲裁人費用が増額される場合がある。

(2) THACの仲裁人費用

 THACの仲裁費用算定サイト(https://thac.or.th/fee-calculator/)によれば、仲裁人1名の仲裁人費用は、紛争額が200万バーツの場合15万バーツ、500万バーツの場合は28万7500バーツ、1000万バーツの場合は56万2500バーツ、2,000万バーツの場合は100万バーツとされている。なお、これらはあくまで推定額であり、実際の仲裁手続の長短などにより実際にかかる費用は異なってくることに注意されたい。

 

以 上

 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

masaki.fujiwara@oneasia.legal(藤原 正樹)
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)


2021年04月22日(木)9:59 AM

タイ民商法改正の勅令について-利息等について-について報告いたします。

タイ民商法改正の勅令について

 

タイ民商法改正の勅令について-利息等について-

2021年4月21日

One Asia Lawyersタイ事務所

「2564年民商法典の改正を定める勅令」が2021年4月9日に発布され、翌日10日に官報に掲載、4月11日より施行開始となっています。改正に至った背景として、新型コロナウイルスの感染拡大によって、国民の多くが困窮している状況を踏まえ、債務者が必要以上に高額の金利や利息に苦しまないよう、経済状況に応じた利率の早急な改定が必要であると判断されたためであると説明されています。

改正点は、主に以下の3点となります。

  • 1. 民商法第7条(利息)

これまで利息が発生する場合で、契約や法律により明確にその利率が定められていない場合は、年利7.5%が適用されていましたが、本勅令により、年利3%に変更となっています。改正後の利率は本勅令の施行開始日以降に支払期日が到来する場合の利息を算出する際に適用されますが、本勅令施行前の期間中の利息を算出する際には適用されません。つまり、4月10日までに支払い期日が到来した場合の利息には年利7.5%が適用され、4月11日以降に支払期日が到来する場合の利息には年利3%が適用されます。なお、今後も3年毎に財務省により見直しが行われることが明示されています。

  • 2.民商法第224条(遅延利息)

これまで遅延利息は年利7.5%と定められていましたが、本勅令により、同法第7条に基づき定められた利率+年利2%に変更となりました(ただし、契約や法律に基づきこれ以上の利息を請求できる場合は、それに従うと規定されています)。改正後の利率は本勅令の施行開始日以降に支払期日が到来する場合の遅延利息を算出する際に適用されますが、本勅令施行前の期間中の遅延利息を算出する際には適用されません。つまり、4月10日までに支払い期日が到来した場合の遅延利息には年利7.5%が適用され、4月11日以降に支払期日が到来する場合の遅延利息には同法第7条に基づき定められた利率+年利2%が適用されます。

  • 3.民商法第224/1条(遅延利息の算出方法)

同条は、今回の改正により新たに加えられ、本勅令の施行開始日以降に支払期日が到来する場合の遅延利息を算出する際に適用されます。これまで支払を遅延した際、支払いを遅延した分割支払金だけでなく、今後支払いが予定されている分割支払金の合計を元本として遅延利息を算出すると定めた契約が多く見受けられましたが、4月11日以降は支払いを遅延した分割支払金の元本に対してのみ遅延利息の請求が認められるため注意が必要です。

<民商法第224/1条 参考日本語訳>

分割払いで債務返済を行う債務者が、ある分割支払金の支払を遅延した場合、債権者は、当該分割支払金の元本に対してのみ、支払遅延期間の利息を請求することができる。前項と矛盾する合意は、無効とする。

 

以 上

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
masaki.fujiwara@oneasia.legal (藤原 正樹)
miho.marsh@oneasia.legal (マーシュ 美穂)