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2023年11月24日(金)10:55 AM

ラオスにおける土地税法についてのニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

土地税法の制定

 

ラオスにおる土地税法について

2023年11月24日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1. 経緯

ラオスの土地税に関する法令は、2000年に首相令として制定され、2007年に改正されています。今回制定された土地税法は、首相令に代わるもので、2023年7月17日付で発行され、2023年11月1日に官報に掲載、2024年1月1日より施行されます(土地税法第47条)。

ラオス財務大臣によると、「首相令は16年以上改正されておらず、現在土地税の税収は低く、改正された各種関連する法律と整合性がなく、(土地税の徴収の)実施も困難であるため、より確実にかつ具体的に、過去には生じなかった問題に対処するための新しい法律が必要となった」¹と述べています 。
本稿では、土地税の徴収に関する基本的な情報を紹介します。

2.土地税の課税対象の土地

(1)課税対象の土地
課税対象の土地は、農地と建設用地の二つに分類されます。それぞれ、以下の通り定義されています(土地税法第3条)。

農地:耕作、飼養、漁業、灌漑及び農業分野の試験場のために使用される土地
建設用地:新都市開発地、住居、事務所、省庁、公共の場所、商業、サービスを行うために建物を建設する土地及び法律に従って分譲された都市計画に準じたその他の建設用地

なお、開発されていない農地及び建築物がない建設用地、政府が貸している土地、コンセッションの土地についても、同様に課税の対象となっています(土地税法第10条)。

(2)免税対象の土地

以下に分類される農地は免税の対象となります。
① 国の農業試験のための農地
② 村長からの申請により、郡長、市長等が承認した貧困世帯の農地
③ 自然災害で被害を受けた農地。但し、免税期間は、災害に遭った年又は郡レベルの災害管理委員会の申請に基づき郡長、市長等が承認した復興期間。
④ 事業により新しい土地へ移住した家族の農地。但し、免税期間は移住後3年間。
⑤ 法令に規定されるその他の農地

以下に分類される建設用地は免税の対象となります。

① 公園、宗教的な場所、墓地、神聖な土地など公共の利益のための施設を建設する土地
② ごみ集積場、浄水場、教育施設、運動場及び子ども用の遊び場に使用する政府の建設物用の土地
③ ラオスが条約を締結している国際機関、各国の在ラオスの代表機関などラオス政府が委任した団体に対する建設用地
④ 村長からの申請により、郡長、市長等が承認した貧困世帯の住居用の土地
⑤ 自然災害で被害を受けた建設用地。但し、免税期間は、災害に遭った年又は郡レベルの災害管理委員会の申請に基づき郡長、市長等が承認した復興期間。
⑥ 事業により新しい土地へ移住した家族の住居用の土地。但し、免税期間は移住後3年間。
⑦ 法令に規定されるその他の建設用地

3.土地税の計算と納税者の義務

(1) 土地税の課税方法
土地税は、課税標準額に税率を乗じて計算されます。課税標準額は、以下の通り算出されます(土地税法第12条及び13条)。

課税標準額 = 土地の面積(㎡)× 県の国民議会が承認に基づき、県知事、都知事が合意した土地の評価額

税率は、2024年から2030年まで、以下の表の通り規定されています(土地税法第14条)。

 

土地の種類

2024年~2026年

税率(%)

2027年~2029年

税率(%)

2030年

税率(%)

農地

開発されていない農地

0.01

0.02

0.02

0.03

0.03

0.04

建設用地

‐住居地

‐工業用工場建設用地

商業及びサービス

‐開発されていない土地

 

0.02

0.03

 

0.04

 

0.03

0.04

 

0.05

 

0.04

0.05

 

0.06


(2) 納税者の義務
土地使用権保有者、土地の利用者又は占有者は、1月1日から12月31日までの土地税を
毎年、商業銀行、税務署、村の財務部又は税の徴収を委任された人を通して、現地通貨キープで納税する必要があります(土地税法第16条)。

 

¹2023年7月10日付The Laotian Times (https://laotiantimes.com/2023/07/10/lao-minister-of-finance-proposes-new-draft-law-on-land-tax/)

以上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 

2023年11月22日(水)6:51 PM

ラオスにおける職業紹介法についてのニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

職業紹介法の制定

 

ラオスにおける職業紹介法について

2023年11月22日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1. 経緯
ラオスにおいて、職業紹介、あっせん等を規定する主な法令は、2010年1月12日付「職業紹介事業にかかる会社設立及び管理に関する労働社会福祉大臣合意(No043)(以下、「労働社会福祉大臣合意」)」、2013年12月24日付「ラオス労働法(No43)」、2015 年 7 月 13 日付「 ラオス国籍者へと保全される事業リストに関する商工大臣令(No.1328)(以下、「保全事業リスト」)」、2019 年 1 月 10 日付「ネガティブ事業及びコンセッション事業リストの承認に関する首相令(No03)(以下、「ネガティブリスト事業リスト」)」があります。

これらは、すべて有効とされていますが、特に外資規制については、各規定が矛盾した状況が続いています。例えば、労働社会福祉大臣合意の中で、会社設立の条件として「ラオス国籍又は外国人はラオス人と共同出資であること(同合意11条)」が規定されています。他方、同事業は、保全事業リストにも記載されており、外国人の参入は不可の事業に分類されています。さらに、2019年に改正されたネガティブリスト事業リストとして、新たに職業紹介業が規定されたことにより、ラオス国内の投資家との合弁会社という条件付き(労働社会福祉大臣合意が参照されている)で、外国人の事業への参入が認められるようになったと解釈されます。

今回、ラオス政府は、2023年7月17日付で「職業紹介法」を制定、2023年9月9日より施行されています。職業紹介法は、全部で66条から成り、国内・国外への職業紹介、職業紹介組織、失業認定証の発行、労働市場の情報、職業紹介事業、職業紹介事業組合や禁止事項等で構成されています。

本稿では、職業紹介事業について簡単に解説いたします。

2. 職業紹介事業について

職業紹介業は、労働社会福祉省(以下「労働省」)の管轄下にあります。会社法に従って会社を設立し、企業登録書(Enterprise Registration Certificate)を取得した後に、投資奨励法に従い投資許可証(Investment License)を取得し、その後で労働省より職業紹介業に関する事業許可証(Business Operation Certificate)を取得する手続きの流れとなっています(第38条)。具体的な手続きの流れは、別途規定するとあります。

職業紹介業は、①国内への職業紹介業、②国外への職業紹介業、③その他職業紹介に関連する事業に大別されます(第39条)。

職業紹介事業者の条件は以下の通りです(第40条)。

(1) 企業登録書及び投資許可証を取得していること
(2) 規定に従い資金が十分にあること
(3) フィージビリティスタディ(FS)及び事業計画書があること
(4) 事務所又は建物、機器、工具、車両等を保有していること
(5) 技能開発施設を有する、又は技能開発施設との協力協定を結んでいる
(6) 職業紹介に関する知識、技術、経験を有する人材がいること
(7) 事業者の活動履歴書があること
(8) その他、業種ごとの条件

職業紹介事業を行う法人は、職業紹介の事業許可書を取得するために、下記の書類を揃えて、労働省へ提出します。労働省は、完全に揃った申請書類一式を受領後、30日以内に事業許可書の発行の可否を検討して、文書にて事業者に対して通知します(第42条)。事業許可書は3年間有効であり、更新可能となっています(第43条)。
申請に必要な書類は、以下の通りです(第41条)。
(1)職業紹介事業申請書
(2)企業登録書及び投資許可書の写し
(3)FS及び事業計画書
(4)職業紹介会社の国内労働者の使用に関する会社規定
(5)その他必要な書類

3.登録資本金について

同法には、登録資本金についての規定はありませんが、ネガティブリスト事業リストには、労働社会福祉大臣合意に準ずると記載があります。同合意第16条に以下の通り規定されています。なお。保証金は、労働省の銀行口座へ振り込む必要があります。

業種

資本金/回転資金

保証金

国内職業紹介業

2憶キープ以上

(約9,600USD)

2,000USD以上

 

国外職業紹介業

20憶キープ

(約96,000USD)

20,000USD以上

 

※1USD=約20,500キープ(2023年11月22日現在)

4.外資規制について

同法には、外資規制についての規定はありませんが、ネガティブリスト事業リストには、労働社会福祉大臣合意に準ずると記載があります。同合意第11条によると、職業紹介事業は「ラオス国籍の個人、法人及び外国人の場合は、ラオス人との合弁会社」である必要があると規定されています。外資比率などは特段規定されていませんので、自由に設定可能と解釈されます。

 

以上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 

2023年10月18日(水)12:04 PM

ラオスにおける商業銀行法の改正についてのニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

商業銀行法の改正

 

ラオスにおける商業銀行法の改正について

2023年10月18日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1. 経緯

ラオスの商業銀行法は、2006年に制定され、その後2018年に改正されています。今回の改正版は、2023年7月17日付けで発行、2023年10月13日に官報に掲載されましたが、9月15日から施行されています(以下、「改正法」)。商業銀行業は、ラオス中央銀行(以下「中銀」)の管轄下にあります。会社法に従って会社を設立し、企業登録書(Enterprise Registration Certificate)を取得した後に、投資奨励法に従い投資許可証(Investment License)を取得し、その後で中銀より銀行業に関する事業許可証(Business Operation Certificate)を取得する手続きの流れとなっています。今回の改正において、重要な改正点及び新たな規定を中心に解説いたします。

2. 改正点

改正法第13条によると、商業銀行の登録資本金の額が改正前の2倍(5,000億キープから1兆キープ)に増額されています。

登録資本金又は資本金(以下「資本金」)は、現物出資でも可能となっていますが、資本金総額の10%を超えることはできません。また、現物出資の場合、評価会社に資産を査定してもらい、その評価額は中銀からの合意を得る必要があります。現物出資は、銀行業の運営に必要な動産又は不動産とし、不動産の場合はラオスに存在する必要があります。

改正法が施行される前に設立した既存の商業銀行は、政府が規定する期日内に、改正法で定められた資本金の額へ増資する必要があります。政府が規定する期日について、10月末時点ではまだ確認できていません。なお、ラオスにおいては、今回の資本金増額等により、数社の外国銀行の支店の存続に影響しています。

資本金

改正前

改正後

商業銀行

5,000憶キープ

(約2450USD

1兆キープ以上

(約4900USD

外国銀行の支店

3,000憶キープ

(約1460USD

6,000億キープ以上

(約2900USD

 

 

※1USD=約20,500キープ(2023年10月18日現在)

3. 新規規定

改正法において新たに規定された条文は以下の通りです。

(1)特定銀行(改正法第3条10項)

改正法において、商業銀行のひとつとして、一般銀行のほかに、特定銀行が新たに定義づけされています。特殊銀行とは、一定の金融商品、金融分野、地域及び対象顧客に特化してサービスを提供する銀行をいいます。

(2)事業許可証の更新 (改正法第12条)

事業許可証は、以下に該当する場合、新たに取得する必要があります。

① 株主構成の変更、事業内容の変更、事業所の移転など事業許可証に記載されている情報

に変更があった場合

② 事業許可証の汚損、破損、紛失した場合

(3)定款(改正法第15条)

改正前は、定款に記載すべき項目が規定されていましたが、改正後は、中銀が定期的に更新する書式に則る必要があるため、詳細は省かれています。また、外国銀行の支店の定款は、親会社からの承認を必要とすることが新たに規定されています。

(4)商業銀行の降格及び昇格(改正法第18条)

外国資本100%の商業銀行及び外国銀行の支店は、それぞれ、商業銀行から外国銀行の支店への降格、外国銀行の支店から外資100%の商業銀行へ昇格することは可能です。但し、変更する場合は、事業許可証を中銀の規定に従って取得する必要があります。なお、事業体の変更があったとしても、預金者、債権者に対する義務及び納税の義務等は継続されます。

(5)商業銀行の組織 (改正法第20条及び第34条)

改正前は組織体の中に補助統括部はありませんでしたが、改正後は組織体を構成する補助統括部を設置する必要があります。なお、補助統括部の業務内容は、定款に定めなくてはなりません。

(6)商業銀行協会(改正法第94条から第96条)、

非営利の商業銀行協会の設置、加入、協会の活動内容等が新規で規定されています。外国銀行の支店も加入することが可能です。

なお、ラオスにおける経営不振金融機関に対する初動措置については、弊所ニューズレターをご参照ください。

 

以上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 

2023年10月03日(火)9:50 AM

ラオスにおける調停合意及び仲裁判断の履行についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。

調停合意及び仲裁判断の履行

             ラオスにおける調停合意及び仲裁判断の履行について

2023年10月3日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所 

1. 背景
現行の「経済紛争解決法」は、2018年6月22日付で成立しています。紛争解決に関する法令としては2021年11月17日付「判決執行法(詳細は、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8403)をご参照ください)」、2021年10月22日付「村レベルの紛争解決について(詳細は、弊所ニューズレター (https://oneasia.legal/7860)をご参照ください)」、2022年7月21日付「郡レベルの紛争解決に関するガイドライン(詳細は、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8752)をご参照ください)」等があります。

司法省は、経済紛争解決法の中でも、特に第3部の「経済紛争解決手続における判断の執行」について、全国統一的に制度化し、補足的な説明を行うことを目的として、ガイドラインを2023年5月12日付で発行、同年9月27日に官報に掲載しました。なお、同ガイドラインは2014年に発行されたガイドライン(No226)の改正版となります。

ちなみに、2022年のラオスの経済紛争解決センターの統計によると、2022年に同センターで取り扱った紛争は全部で15件(ラオス人同士の紛争9件、ラオス人と外国人の紛争6件)であり、そのうち前年度から解決されず持ち越された紛争が5件と報告されています。また、2022年に解決できず2023年に持ち越された紛争は、4件あり、合意に至っても約束が履行されず、長期化している事例があります。そのため、調停合意がうまく活用されず、紛争の長期化を避けるため、本ガイドラインが出されています。

本稿では、ガイドラインの内容を簡単に解説いたします。

2.調停合意及び仲裁判断の執行について

執行方法は、当事者による履行及び判決執行機関による執行の2通りがあります。

(1)当事者による履行

当事者による履行において、当事者が調停合意及び仲裁判断を履行しなかったことで、当事者のどちらかが不利益を被る場合、紛争が生じている場所又は財産が存在する場所の県・都の人民裁判所へ、経済紛争解決機関を通して、強制執行命令の発行を申立てることが可能となっています。

仲裁委員会による仲裁判断の執行においては、当事者から仲裁判断に対して、不服申立てがない限り、期限、手続き、履行方法を協議し、仲裁判断が下った日又は仲裁判断が通知された日から数えて30日以内に、履行する必要があります。上記期限内に履行できない場合、経済紛争解決機関へ履行できない理由を合意内容に基づき通知する必要があります。

なお、当事者が経済紛争解決機関に対して履行促進、監視の支援を要請することも可能となっています。

(2)判決執行機関による執行

判決執行機関は、経済紛争解決の結果を承認する決定又は裁判所の判決を「判決執行法」に則り、当事者に対して判決内容等を説明したり、判決執行期限等を決定します。これらは、判決執行機関の優先事項として考慮する必要があります。また、経済紛争解決の結果が不明瞭であったり、履行できないと判断する場合、経済紛争解決機関へ文書にて詳細な説明をすることを要請することが可能です。

なお、判決執行法の詳細に関しては、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8403)をご参照ください。

 

以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)

satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2023年09月27日(水)7:34 PM

ラオスにおけるSIMカードの登録義務についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。

SIMカード登録義務化

             ラオス:SIMカードの登録義務化について

2023年9月27日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所 

1. 背景
2020年3月30日付の郵便電気通信省(現在の技術通信省)大臣合意(No903)において、SIMカード利用者の個人情報登録、デジタル暗証番号設定、社会秩序の維持等のため、ラオス国内で販売されているSIMカード(通話及びインターネット用)の登録義務化が発表されました(以下「旧合意」)。
当初の登録期限は、2020年12月31日までと設定されていましたが(2020年6月17日付「郵政電気通信省による告知(No1056)」)、コロナ禍もあり登録が進まず、その期限が、2022年1月31日までに延期されていました 。しかしながら、それでも国民への周知が進んでいない状況にあるため、技術通信省は、旧合意を改正し、2023年8月30日付で「電話番号登録に関する大臣合意(No.2347) (以下、「合意」)」を発行し、登録期限を2023年12月16日と改めて設定しました。本稿では、SIMカードの登録方法及び登録しなかった場合の罰則規定について簡単に解説いたします。
2. 対象となる電話番号
ラオス国内販売されているSIMカードは国内及び海外での使用を問わず登録する必要があります。対象となる電話番号は以下の通りです。

(1)020から始まる通話及びインターネット用の携帯電話番号(月払い及びプリペイド方式)
(2)030から始まるワイヤレス固定電話

なお、個人の場合は、5回線まで、法人の場合は、50回線まで、自社製品 に使用する場合は、100回線まで登録可能となっています(合意第10条)。なお、使用者が15歳未満の場合は、保護者が代わりに登録する必要があります(合意9条)。

3. 登録方法
登録方法は、登録サービスを提供している窓口(通信会社の窓口など)で登録する方法とアプリケーションを使用して自分で登録する方法の2つがあります(合意第7条)。個人の場合、登録には、パスポート又はIDカードが必要となります。法人の場合は、企業登録書やマネージングダイレクターの顔写真など多くの書類を準備する必要があります(合意第9条)。なお、同合意が施行後に販売される新しいSIMカードは、電気通信会社が指定した店舗でしか購入及び登録することができませんので留意が必要です(合意第7条)。これまでは、中古を含めた携帯電話を販売しているお店や雑貨店などでSIMカードが購入できましたが、今後は、販売場所が制限されます。

(1)サービス窓口
個人の場合は、3Grab App というアプリケーションで登録が行われます。他方、法人や団体等は、http://kyc.simreg.gov.la上で登録されます。登録の可否は、3時間以内に通知されます。

(2)自身で登録する場合
Lao KYC App上で登録を行います。登録の可否は72時間以内または3日以内にSMS経由で通知があります。

(3)登録の確認方法
電話番号が登録済みであるのか確認する方法は、以下の3つがあります。
①携帯電話から 「*1021#」へ電話する
②Lao KYC Appで確認する
③http://kyc.simreg.gov.la のウェブサイト上で確認する

4.罰則規定
ラオス国内外を問わず、ラオスのSIMカード利用者が合意に違反した場合、以下のとおり、罰金が科せられる場合がありますので、留意する必要があります(合意第28条)。

(1)SIMカードを登録せずに使用した場合:1,000,000キープ /回線
(2)SIMカードを使用して、社会の秩序を乱したり、国の治安に影響を与えた場合:10,000,000キープ/回線
(3)海外のSIMカードをラオス国内へ輸入・販売した場合:5,000,000キープ/回線
(4)登録済のSIMカードを他人へ譲渡し、新しい使用者の情報で再登録せずに使用した場合:1,000,000キープ/回線
(5)許可なしに他人のSIMカードを登録した場合:1,000,000キープ/回線
(6)登録に協力しない場合:1,000,000キープ/回線
(7)登録に必要な書類等を偽造した場合:1,000,000キープ/回線

 

 

以 上

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2023年09月05日(火)3:34 PM

ラオス社会経済喫緊の課題解決に向け連携強化についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。

ラオス経済課題解決

             ラオス社会経済喫緊の課題解決に向け連携強化

2023年9月5日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所 

1. 背景
2023年8月30日付で「社会経済、インフレ、為替レート、物価及び対外債務の喫緊の課題解決に対する連携強化に関する首相命令(No.13) 」が緊急で発出されました。現在のラオス経済の喫緊の課題に対して、各省庁、省庁と同格の組織、国家建設戦線、退役軍人同盟、中央大衆組織、地方自治体、各経済部門が問題解決に向けて、責任をもって任務を遂行することを指示した内容となっています。

同首相命令は、課題解決に向けて取り組むべき業務を各政府機関に対して委任する内容で構成されています。今回は、ラオスで活動する個人、法人等が留意する必要がある項目を簡単に解説いたします。

2.税収について
税収を増やすために、付加価値税を現行の7%から10%へ引きあげることが検討されています。そのほか、物品税(特に、贅沢品、健康、社会にマイナスの影響がある商品)、法人税、特に電力及び鉱山分野の投資プロジェクトへの商品やサービスを提供している事業者からの所得税について、税率を引きあげることが検討されています。
3.   違法な両替行為について
両替商については、2022年10月より改正施行された「外国為替管理法」及び2022年12月28日付「両替業に関する合意(No1026)」において、「両替業はラオス国内の商業銀行のみが行うことができる サービス」であるという規定に基づき、個人で経営する両替商はすべて閉鎖に追い込まれました(詳細は2023年1月19日付ニュースレターをご参照下さい)。しかしながら、個人の銀行口座を使用して違法に両替サービスを提供している、いわゆる闇両替が存在しており、それらを厳しく取り締まると同時に、公務員や政府当局が権力を乱用して、そのような闇両替を見逃していることが発覚した場合は、法に基づき厳格に処罰することが記載されています。

4.海外直接投資について
海外直接投資(Foreign Direct Investment)を多く誘致するため、事業許可の取得プロセスを迅速に行うこと、政府開発援助も含め、海外からの借入等はすべて銀行システムを使用し、電子システムを使用して投資家と資金の動きを照合、追跡できるようにシステムを改善することが計画投資省に対して求められています。

5.改定すべき法令
現在のラオスの社会経済状況に見合っていない下記の法令を改正することが求められています。

投資奨励法、カジノ事業管理に関する首相令、農業森林生産物のコンセッション事業への投資のための土地調査許可に関する地方自治体の業務分担に関する法令、ネガティブリスト事業リスト及びコンセッション事業リスト等があります。

 

以 上

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2023年08月23日(水)11:50 AM

ラオス最低賃金の改正に関するアップデートについてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
最低賃金引上げについて

ラオス最低賃金の改正に関するアップデート

 

2023年8月23日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景

2023年8月16日付でラオス首相府は、7月の閣議決定に基づき、労働社福祉省からの最低賃金引き上げの要請に対して合意する告知(No1502)(以下、「告知」)を発行しました。前回の最低賃金引上げは、2022年8月1日に110万キープから120万キープへ(約80 USD、1USD=15,000  LAK、2022年8月為替レート)、2023年5月1日からは120万キープから130万キープへ(約75 USD、1USD=17,000LAK、2023年5月為替レート)2期間分けて、10万キープずつ、段階的に引き上げられました(前回の最低賃金引上げについては、ニューズレターをご覧ください)。今回の改正は、前回の引き上げから5カ月しか経過していませんが、ラオスキープの不安定化及び物価の継続的上昇に対応した改正と思われます。

2.告知の内容

告知は、「7月の閣議決定に基づき、2023年10月1日より、最低賃金を130万キープから160万キープ(約83 USD)[1]へ引き上げることに合意する」という内容のみで、現時点においては、詳細は明らかになっておりません。

なお、7月の閣議においては、公務員、軍人、警察、党組織で働く労働者の最低賃金の引上げについては話し合われておらず、今回の引き上げは、民間企業に雇用されている労働者に対してのみ適用される見込みとのことです[2]。また、ドルをベースとした場合、8 USDの賃上げにしかならず、物価の上昇が続く中で、引き上げ額は十分ではないという評価がなされており、ラオス国民としては、最低賃金を200万キープ(約102 USD)から220万キープ(約112 USD)まで引き上げるべきとの声があがっています[3]

[1] 2023年8月現在の為替レート(1USD=19,500LAK)

[2] 情報元:2023年8月18日 Laotian Timesウェブサイト(https://laotiantimes.com/)

[3] 情報元同上(https://laotiantimes.com/2023/08/18/laos-to-increase-minimum-wage-for-workers-in-october/#:~:text=The%20Lao%20Prime%20Minister’s%20Office,USD%2083)%20starting%20in%20October.)

 

 

                                          以 上

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satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2023年08月21日(月)7:40 PM

ラオスにおける物品及びサービス貿易者の登録についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
貿易事業者の登録について

ラオスにおける物品及びサービス貿易者の登録について

 

2023年8月21日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景
2023年7月14日付で「外貨管理の実施に関する首相命令(No10)(以下、「首相命令」)」が発行されており(詳細はニュースレターをご参照ください)、商品及び/又はサービスの輸出入における外貨の流れについて規制を強化することが記載されています。
首相命令に関連して、ラオス中央銀行(以下、「中銀」)は、銀行口座を介した輸出入業者の外国との決済を徹底させ、適切な外貨の流れを監視することを目的として、2023年7月24日付で「物品及びサービス貿易に関する外貨管理に関する中銀総裁合意(No776)(以下、「合意」)を発行しています。物品及びサービス貿易者(以下、「輸出入業者」)を商工業省及び中銀で登録し、ラオス国内の商業銀行で貿易事業に使用する口座を開設させることを義務付けることを規定しています。以下、輸出入業者の中銀での登録方法について解説いたします。
2.合意の適用の範囲
商工業省で輸出入業者の登録を完了し、登録証明書を取得済みの貿易事業を行っている法人及びラオス国内の商業銀行に対して、合意が発行されています(合意第4条)。対象となる物品及びサービスは以下の通り合意第3条に定義されています。
(1)物品とは
ラオスの物品帳簿及び関税分類表(HSコードに基づく)に掲載されている、製造、加工、消費、販売を目的として、輸入される及び/又は輸出する経済的価値のある商品
(2) サービスとは
旅行、教育、医療、保険、運送、通信、労働及びその他の分野のサービス業
3. 中銀での登録について
輸出入業者は、商工業省で輸出入業者の登録を行い証明書を取得後、さらに、10日以内に、中銀にて輸出入業者登録証明書を取得する必要があります(合意第5条)。中銀は、完全に揃った申請書を受理してから5営業日以内に、登録証明書を発行します(合意第6条)。必要な書類は以下の通りです。
(1)中銀所定の申請書
(2)輸出入業者登録証明書の写し(商工業省発行)
(3)投資許可証又は企業登録書の写し
(4)事業許可証(取得している場合)
(5)その他中銀が必要とする書類
これまで、ラオスの商業銀行において、複数の貿易事業用の預金口座を開設している輸出入業者は、中銀指定の書類にすべての口座情報を記載して、中銀へ提出する必要があります(合意第5条)。
4.商業銀行での口座開設について
中銀で登録後10日以内に、輸出入業者は、ラオス国内の商業銀行にて、貿易業の決済に使用する口座を開設する必要があります(合意第7条)。商業銀行は、中銀からの登録証明書に基づき、決済に使用するための口座を開設します。
5.輸出入事業者に対する禁止事項
輸出入業者に対する禁止事項は以下の通りです(合意第13条)。
(1) 規定の期限内に中銀で輸出入業者登録申請をしないこと
(2) 規定の期限内に輸出入事業の決済用の銀行口座を開設しないこと
(3) 外国との貿易で使用する決済用の預金口座ではない別の種類の口座を外国との物品/サービス取引で使用すること
(4) 銀行の送金システムを介さず外国との決済を行うこと
(5) 輸出事業からの収入を異なる種類の預金口座に入金すること又は輸出入に関する売買契約書や関連書類に記載の売買額を満たしていなかったり、決済日に従わなこと
(6) 中銀の許可を得ずに、輸出事業からの収入を外国に保管しておくこと
(7) その他法令に違反する行為
6.罰則規定
輸出入業者が、同合意に違反した場合、1回目の違反は、罪の重軽に従い、行政指導が課せられます(合意第20条)。
1回目の違反による指導後、それでも改善されない場合は、以下のとおり、罰金が科せられます(合意第21条)。
合意第13条(1)(2)及び(3)に違反した場合:10,000,000キープ(約7万5千円)の罰金
合意第13条(4)及び(6)に違反した場合:違反額の10%の罰金
さらに、合意第20条及び第21条の指導及び罰金を科したにも関わらず、改善されない場合は、外国為替管理法第56条に定められている、輸出入業の事業一時的停止など行政罰を受けることになります(合意第22条)。

 

 

                                          以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2023年08月12日(土)12:57 PM

ラオス: 工場操業違反者に対する罰則規定についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
工場罰則規定について

ラオス: 工場操業違反者に対する罰則規定について

 

2023年8月12日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景

ラオスにおいては「工業加工法」が2013年に制定され、その他、加工工場関連では、2022年8月に農作物加工工場に関する合意が発行されています(詳細は、ニュースレターを参照ください)。

工業加工法では、工場設立や運営に関する違反者に対する罰則の規定については、民事上の損害賠償、労働安全基準違反による刑事上の処分及び工場の一時停止、工場操業許可の取り消しとあるのみで、具体的な違反内容については記載されていません。そのため、罰則の適用の範囲が曖昧であったり、労働環境の安全性、環境汚染等が問題となっていました。

商工業省は、2023年8月2日付で「工場操業違反者に対する罰則規定に関する合意(No1233)(以下、合意)」を発行し、その中で違反とみなされる行為15項目及び罰金の額を定めました。違反者に対して、罰則が科せられる根拠を示することが可能となり、全国統一的に運用されることになります。

2. 工場操業規定違反行為について

 合意第5条によると、法令違反であるとみなされる行為は、以下のとおり15項目あります(以下、違反行為)。

(1)許可を得ずに、工場を設立、移転、操業及び拡張すること

(2)設定した場所以外で工場を設立又は許可されていない禁止エリアで設立すること

(3)企業登録書を取得していないで家族経営の工場を設立すること(企業登録が必要な分野の事業の場合)

(4)郡や市の商工業事務所に通知していないで家族経営の工場を操業すること

(5)工場の規模を超えた機械の設置又は許可を得ずに機械を移動させること

(6)許可を得ずに、工場の名前の変更、譲渡、売却、操業者の変更すること

(7)工場操業許可証で認められていない事業活動を実施すること

(8)許可を得ずに、原材料、機械、工具、又は外国人労働者を使用すること

(9)許可を得ずに、危険化学物質を輸入又は工場内で使用すること

(10)当局の命令に従わない又妨害すること、例えば、操業を停止するために当局が取り付けたロックやチェーンを外す行為

(11)技術的基準証明書を取得する前に、廃棄物処理のためのシステムを建設、改造又は機械を設置すること

(12)法令に準じた適切な処理をせずに汚染物質や廃棄物を排出すること

(13)工場の技術基準に従わないこと

(14)有効期限を過ぎて、工場操業許可証を更新すること

(15)有効期限が切れた工場操業許可証を使用すること

3.違反行為に対する罰金の額について     

合意第5条に規定の違反行為15項目に対して、それぞれ工場の規模に従い、罰金の額が下記の表の通り設定されています(合意第6条から第20条)。

                                 単位:ラオスキープ/回

合意第5条の違反行為

工場の規模

(1)

15,000,000

10,000,000

5,000,000

(2)

15,000,000

10,000,000

5,000,000

(3)

 

 

2,000,000

(4)

 

 

1,000,000

(5)

6,000,000

4,000,000

2,000,000

(家族経営も含む)

(6)

3,000,000

2,000,000

1,000,000

(7)

9,000,000

6,000,000

3,000,000

(8)

6,000,000

4,000,000

2,000,000

(9)

15,000,000

10,000,000

5,000,000

10)

6,000,000

4,000,000

2,000,000

11)

7,000,000

5,000,000

3,000,000

12)

20,000,000

15,000,000

10,000,000

(家族経営も含む)

13)

7,000,000

5,000,000

3,000,000

14)

3,000,000

2,000,000

1,000,000

15)

15,000,000

10,000,000

5,000,000

                                      1,000,000キープ=約7,500円(2023年8月時点)

 なお、 合意第5条の違反行為(1)から(15)に対して、違反を2回繰り返した場合、上記の表の2倍の罰金が科せられます。3回目は、5倍の罰金及び大、中及び小規模の工場については、工場操業許可証の取り消し、家族経営の工場に対しては、工場稼働の一時停止と規定されています(合意第21条)。また、徴収した罰金の60%は、政府の歳入となり、40%は技術者の収支に充てられます(合意第22条)。

 

 

                                          以 上

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2023年07月20日(木)4:53 PM

速報:ラオスにおける外貨使用(外国人労働者の給与支払)についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
外貨使用について

速報:ラオスにおける外貨使用(外国人労働者の給与支払)について

 

2023年7月20日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景

2022年10月1日より「改正外国為替管理法(以下、「外為法」)」が施行されており(詳細は2022年12月16日付のニュースレターをご参照ください)、ラオス国内における外貨の使用についてラオス中央銀行(以下、「中銀」)が主導となって規制の厳格化が進んでいます。今回、ラオス政府は、特に、外貨の保有と使用、商品及び/又はサービスの輸出入における資金の流れの監視、労働者の所得、外国からの直接投資、海外口座預金に関する報告及び両替サービスに関して厳格に実施することを目的として、2023年7月14日付で「外貨管理の実施に関する首相命令(No10)(以下、「首相命令」)」を発行しています。今回は、外貨の保有と使用及び労働者の所得に関する規定を中心に解説いたします。

2.外貨の保有と使用

(1)外貨の保有について

ラオスに居住する国内外の個人、法人、設立団体は、原則としてラオスの商業銀行へ外貨を預ける必要があります。個人及び法人は現金で外貨を保有することはできますが、中銀が定期的に定める上限額の範囲内での保有が前提となっています。上限額以上の現金を保有、かつ、その資金源が不明である場合、その現金は違法な資金とみなすと規定しています(第1条)。なお、中銀が定める上限額は、2023年7月末時点では確認できていない状態ですので、現時点では執行事例などは存在しないと認識しております。

(2) 外貨の使用について

中銀、財務省、商工業省、天然資源環境省、公共事業運輸省、教育スポーツ省、保健省、情報文化観光省及び労働省に対して、キープでの価格決定、表示、広告、キープでの取引(例えば、車両売買、高級品販売、コンサルタント料、商品代、薬代、治療代、旅行代、土地使用権の売買代、建設代、公共交通機関の運賃、授業料、スポーツ施設使用料、宿泊代、飲食代、ラオス人の賃金、給与など)が厳格に実行されているか、監督する権限があります(第2条)。また、ラオス国民、ラオスに居住する国内外の事業者に対しては、ラオス国内において、キープ決済を厳格に実施するように通達しています。

3. 外国人労働者の給与について

これまで外為法は、外国人労働者も含めて、ラオス国内で生じる労働者の賃金・給与も原則、キープで支払うことが規定されていました。今回の首相命令による改正では、労働者の賃金・給与は、キープ払いを原則とした上で、外国人労働者又は外国人専門家の雇用を必要とする事業者に関して外国人労働者に対するラオス国内での賃金・給与については、外貨で設定し、外貨で支払うことが可能と明示されています。外国人労働者の給与の支払い通貨に関しては、ラオス国内において数多くの議論がありましたが、キープ払いが厳格化される傾向にある中において、今回、外国人の給与所得については、例外的に外貨での支払いが可能であることが明記された点は、外国人投資家や労働者にとって望ましい措置だといえます。

4.その他

その他重要だと思われる改正は次の通りです。首相命令では、外国人投資家に対して、銀行口座の開設義務、資本金の振込や外貨収入の両替等について、新しい規制を追加しているので、留意が必要です。

(1)外国人投資家に対して

①投資許可証又は企業登録書を取得後に、ラオスの商業銀行へ預金口座を開設すること(第5.5条(1))。

②投資資金は、登録資本金も含めて、法律で定められた期限内にラオスへ全額送金すること。併せて、中銀に対して資本金輸入証明書の発行申請を行い(詳細は、ラオスにおける海外からの資金輸入証明書の取得については、2023年6月22日付のニューレターをご参照ください)、取得後は、投資許可証発行元又は事業許可証発行元に対して、取得したことを通知すること(第5.5条(2))。

(2)外貨で収入を得た場合

①外貨を両替するときは、ラオスの商業銀行の両替所(本店、支店、出張所又は承認された電子システム経由)以外での両替は認められません。

②許可されていない方法で両替した場合、行政罰又は法的措置が取られる可能性があります。

 

 

 

                                          以 上

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