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2021年04月23日(金)3:49 PM

ラオスにおける新型コロナウイルスの状況についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

新型コロナウイルスの状況について

 

ラオスにおける新型コロナウイルスの状況について

 

2021年4月23日

One Asia Lawyers ラオス事務所

1.ラオスの状況

ラオスは、アセアン諸国の中でも最もコロナの感染拡大を抑え込んでいる国となっております。感染者のほとんどが海外からの入国者であり、14日間の隔離期間中に陽性と判明されるケースであり、市中感染の報告は、約1年ぐらいありませんでした。

しかしながら、ラオスの正月(4月14日から16日)に入る直前に、コロナに感染したタイ人がラオスへ不法入国後、ヴィエンチャン市内のカラオケ店、マッサージ屋さん、ナイトクラブ、レストラン等多くの場所に立ち寄ったことから、そこから市中感染とクラスターが発生しています。

4月20日から23日の間に、上記の濃厚接触者94人の感染が確認され、過去最も多く感染者が確認されました。ラオス政府はこれを受け、特にタイとの国境を流れるメコン川に巡視船を出し、不法入国に対する取締りを強化し始めました。

不法入国をする者は、外国人のみならず、タイなどの近隣諸国へ出稼ぎに出ていたラオス人がラオスに戻ってくる際に、14日間の隔離を逃れるために、不法入国するケースも多くなっています。

また、これを機に、ワクチン接種へ行くラオス人が増えているようですが、順番を待たずに我先へと列に割り込み秩序を乱す人がいるとの報告もあります。

2.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策への包括的な規制強化に関する首相命令(No.15/PM/VTE)

2021年4月21日付にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策への包括的な規制強化に関する首相命令(No.15)が出され、4月22日から5月5日まで首都ヴィエンチャンはロックダウンの期間に入っています。

首都に居住している者が他県への移動することは禁止されています。他県に居住している者が、通勤以外で首都への移動することも禁止されています(COVID-19特別委員会から許可された者や運輸等の場合は、除きます)。

また、エンターテイメント施設、カラオケ、居酒屋、インターネットカフェ、マッサージスパ、ビリヤード場、屋内スポーツ施設を閉鎖することは、もちろんですが、教育施設も閉鎖する通知が別途教育スポーツ省から発出されています。

大規模事業、工場工房、銀行、金融機関、証券市場、証券会社、病院、ヘルスポスト、薬局、レスキュー隊、郵便、通信、電気、水道、レストラン、カフェ、ホテル・リゾートは、営業が許可されています。

その他は、職場はできる限り交代制として人数を減らし、日用品の購入、通院等以外は、基本的に外出禁止とされています。なお、20名以上が集まる集会、会議、イベントも禁止されています。

首都ヴィエンチャンのみならず、全国的に感染者が増えてきていますので、ラオスにおいてもwith Coronaの生活を意識する必要が出てきています。

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2021年04月19日(月)12:12 PM

ラオスにおける会計・監査法人の事業許可及び監査役についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

会計・監査法人の事業許可及び監査役について

 

ラオスにおける会計・監査法人の事業許可及び監査役について

 

2021 年4月19日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

会計・監査業務は、2019年にラオス政府が定めた14分野11業種のネガティブ事業[1]リスト内の業種に該当し、事業を始めるためには、企業登録の前に、計画投資省のワンストップサービスにおいて、投資許可を取得することが義務付けられています。

会計・監査業務については、2014年7月22日付「独立監査法 (Law on Independent Audit )」に規定されています。今回に財務省より発行された2021年2月16日付「会計・監査法人の事業許可及び監査役[2] (Statutory Auditor)に関する合意(No.0875)」は、2014年の一時的なガイドライン(No.007)にとってかわるものであり、2019年のネガティブリスト改正の内容と整合性をとるために発行されました。

会社設立や業務内容に関する詳細な規定は独立監査法を見る必要がありますが、同法には、外国の監査法人に対する要件が記載されていませんので、それらを中心に解説いたします。

2. 会計事務所の事業許可要件(合意第6条)

 会計業務の事業許可書を取得しようとする個人及び法人は、次の条件を満たす必要があります。

①公認会計士であること

②The Lao Chamber of Professional Accountants and Auditorsのメンバーであること

③公務員でないこと、他の会社の経営者、株主及び社員でないこと

④財務・会計上で犯罪歴がないこと

⑤上級の会計担当者が少なくとも3人以上いること

⑥過去に会計・監査業事業許可証を剥奪されたことがないこと

3. 監査法人の事業許可要件(合意第7条)

 ※①から④は上記、会計事務所と同じ要件

⑤外国人である場合、公認会計士、会計事務所、監査法人のその国の資格証明があること

⑥個人経営である場合、公認会計士が少なくとも2人以上、上級の会計担当職員が数名いること

⑦全株主の5分の3以上が、公認会計士であること

⑧過去に会計・監査業事業許可証を剥奪されたことがないこと

外国の監査法人の場合、上記①から⑧に加えて、次の条件を満たす必要があります。

①グループ会社又は親会社の経営が安定していること

②支店又は代表事務所のマネージング・ダイレクターは、独立監査法に則った公認会計士

であること

③親会社からの支店又は代表事務所設立に関する委任状があること

④労働関連法に基づき専門家等の人員を配置させること

4. 監査役の要件

 監査役は、公認会計士である必要があり、監査法人のマネージング・ダイレクター又は監査業務執行責任者[3] (Engagement Partner)である必要があります(合意第8条)。

5. 会計・監査事業における事業許可取得手続き

 計画投資省において投資許可証を取得し、商工業省において企業登録が完了したのち、以下の書類を揃て、事業許可証を財務省より取得する必要があります(合意第10条)。完全に揃った書類を財務省が受理した後、10営業日以内に事業許可証が発行されると規定されています(合意第12条)。

①財務省所定の申請書

②公認会計士資格証明証の写し

③会計士の経歴書

④公務員または会社の社員の場合は、退職証明証

⑤The Lao Chamber of Professional Accountants and Auditorsの会員証の写し

⑥IDカード又はパスポートの写し

⑦マネージング・ダイレクターの顔写真(3㎝×4㎝) 2枚

外国の監査法人である場合、上記①から⑦に加え下記の書類が必要となります。

①親会社の過去の実績報告書

②親会社からの支店設立に関する委任状

③親会社からのラオスに常駐する責任者の選任レター

なお、監査法人のマネージング・ダイレクター又は監査業務執行責任者は、事業許可証を取得後30日以内に、必要な書類を揃えて、監査役としての認証を財務省より受ける必要があります(合意第13条)。認証に必要な書類は以下の通りです(合意11条)。

①財務省所定の申請書

②公認会計士資格証明証の写し

③The Lao Chamber of Professional Accountants and Auditorsの会員証の写し

④所属している会社からのマネージング・ダイレクター又は監査業務執行責任者であることを  

証明するレター

⑤監査法人の事業許可証の写し

⑥IDカード又はパスポートの写し

⑦3カ月以内に撮影した顔写真(3㎝×4㎝) 2枚

 

[1] 2019年2月26日付ニュースレターにおいて解説。

[2] A Statutory Auditor is an auditor eligible for signing an auditor’s report on behalf of the audit firm.(Article 3, Law on Independent Audit,)

[3] An Engagement Partner is a partner in the audit firm who is responsible for carrying on the engagement and its performance and for the auditor’s report issued on behalf of the firm. (Article 3, Law on Independent Audit,)

 

 

以 上

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2021年04月19日(月)12:07 PM

ラオスにおける外国人労働者の入国許可についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

外国人労働者の入国許可について

 

ラオスにおける外国人労働者の入国許可について

 

2021 年4月19日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

2021年1月に「ラオスにおける外国人出入国管理に関する罰則規定」が発行されていますが、それに続いて、2021年2月23日付で「外国人労働者のラオスへの入国許可に関する労働社会福祉省大臣による合意(以下、合意)」が発行されています。

今回発行された合意は、2007年の合意の改正であり、2013年に労働法が改正されているため、その内容と整合性をとったかたちとなっています。従って、本合意の内容は、労働法の外国人労働者の入国について規定している第41条から第45条の内容に基づいています。

 一度、労働許可証を取得してしまうと、あまり気に留めることがない規定でもありますが、今回は、特に見落としがちな外国人労働者に関する規定をご紹介いたします。

なお、同合意は、外交官、各国の代表団とその家族、会議・研修参加者、事業許可証に記名されている投資家、国連・国際機関の職員等は適用の範囲外となっています。

2. 外国人労働者の要件について

 原則、外国人労働者は、ラオス人では技能が満たされないポジションの補完のため、ラオス人への技能の指導、移転のためにラオスで働くことが許可されています。

(1)条件

ラオスで働く外国人は、20歳以上、職位に応じたスキルと専門的能力があり、犯罪歴がなく、健康である者と規定されています(合意第7条)。

(2)責務

ラオスの社会保障基金に加入すること、納税すること、ラオス人へ技能を引き継ぐことなど(合意第9条)

(3)労働許可期間

雇用契約に基づき、1か月、3か月、6か月、12か月の期間(労働許可証の有効期間)働くことが可能となっています。また、5年を上限として、1回につき最大12か月の延長が可能と規定されています。

外国人労働者は、最長5年間ラオスで働いたのち、新たな職場で雇用される場合、いったん母国へ帰国しなくてはなりません。帰国してから30日後に、必要な手続きを経て、ラオスでの新たな雇用先での労働が認められます(合意第10条)。但し、雇用者が5年を超えて、継続して外国人労働者を雇用する必要があると判断した場合、雇用契約に基づき外国人労働者を雇用することが可能となっています(労働者は帰国する必要はありません)。

3. 外国人労働者の入国許可について

使用者は、事業所内における人材配置計画を作成する際、ラオス人労働者を優先する必要があります。ただし、その需要をラオス人労働者で満たすことができない場合には、使用者は、外国人労働者の使用を労働監督機関に申請する権利を有します。

(1)クオーター制(合意第17条)

事業所内の外国人労働者受入れ比率は、次の規定に従う必要があります。

ア) 肉体労働を行う技術専門家は、事業所内の全ラオス人労働者数の15%

イ) 頭脳労働を行う技術専門家は、事業所内の全ラオス人労働者数の25%

なお、クオーターは、1年間に何度でも申請可能であり、許可書発行日から同年12月31日までの最大1年間有効となっています。12月31日までに入国しなかった場合は、再度クオーターの取得申請をする必要があります(合意第21条)。申請から許可取得まで、15営業日と規定されています。

クオーター取得後に、外国人の入国許可申請を別途行う必要があり、申請後3営業日で入国許可書が発行されます(合意第38条)。

(2)労働許可証

外国人労働者は、ラオスに入国後30日以内に労働許可証を取得する必要があります(合意第25条)。30日以内に取得しいていないことが、発覚した場合は、超過1日つき一人50,000キープ(約500円)の罰金が科せられます(合意第41条)。ラオスでの雇用期間が終了し、母国へ帰国又は第三国へ行く場合は、労働許可証を管轄機関へ返却する必要があります(合意第39条)。

その他、外国人労働者は、治安維持省より滞在許可証を取得し、外務省よりLAB2ビザ(労働ビザ)を取得する必要があります(合意第23条)。

 

以 上

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2021年03月12日(金)2:25 PM

ラオスの土地登記書及び土地権原証書の詳細についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ラオスの土地権原証書について

 

ラオスの土地登記書及び土地権原証書の詳細について

 

2021 年3月12日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

 2020年8月31日付「ラオスの土地法の改正について」のニュースレターの中で解説したとおり、2020年7月より改正土地法が施行されています。

 改正土地法第97条及び第99条において「土地登記書、土地権原証書 の印字内容の詳細については、天然資源環境省が決定する」と規定されており、今回、同省は、全国統一した内容で管理するために、「土地登記書及び土地権原証書の印字内容及び書式に関する大臣合意(以下、本合意)」を2021年2月19日付で発行しています。

 本合意においては、政府の土地及び法人・個人が所有する土地の権利を証明する土地登記書及び土地権原証書の様式・記載内容が規定されています。本合意施行後に発行される土地登記書と土地権原証書は、これまでと少し様式が異なりますので、ご留意下さい。以下、概略を解説致します。

2. 土地登記書及び土地権原証書について

本合意第2条に以下のとおり、「土地登記書」と「土地権原証書(ໃບຕາດິນ:バイターディン)」が定義されています。土地権原証書は、日本でいう地券にあたるものです。

(1)土地登記書(以下、登記書)

登記書とは、「土地権原証書発行登録の情報を記載したもの。郡の天然資源環境事務所所長の署名及び印鑑が押される。」とあります。

(2)土地権原証書(以下、権限証書)

権原証書とは、「登記書から正しく複写された、土地使用権を証明する唯一の証拠書類。原本を土地使用権の保有者へ渡し、法律が定める条件に応じて内容に変更があるまで長期的に使用される。」とあります。

 また、権限証書は、政府土地権原証書と個人・法人土地権原証書の2種類があります。

 なお、政府の土地を借用したり(コンセッション)、政府が分配する土地の土地使用権を期限付きで購入した場合に発行される登記書及び権原証書は、郡ではなく、県・ヴィエンチャン都の天然資源環境課長の署名と印鑑が押され、「天然資源環境省」の文字が入ります。

3. 土地登記書と権原証書の内容

 本合意第3条と第4条において、登記書と権原証書の内容について、政府の土地と個人・法人の土地それぞれについて、以下の表のとおり、定められています。

 なお、登記書と権原証書の記載内容は全く同じ内容となっております。法律上、権原証書は、原本の1枚しか存在しないことになっているため(改正土地法第99条)、運用上も、土地の登記実施機関は、権原証書の複写は保管していません。従って、第三者の土地の情報を当局に問い合わせた場合、登記書のコピーが提供されることになります。

<登記書と権原証書の様式・記載内容>

形式・様式

政府

個人・法人

サイズ

A4(210×297㎜)

※これまでのものより、縦の長さが短くなります。

A4(210×297㎜)

※これまでのものより、縦の長さが短くなります。

表面の色

白+薄い青の模様

象牙色+薄い緑の模様

表面の外観

国家のシンボル、薄いオレンジ色で書かれたラオスの地図(中心)、北上向き方位マーク等

国家のシンボル、薄い緑色で書かれたラオスの地図(中心)、北上向き方位マーク等

枠の色

黄色の模様に赤の枠

赤色の模様に黄色の枠

印字事項

(表面)

・四隅に「土地局」の文字と左右に土地ロゴマーク

・県・ヴィエンチャン都の天然資源環境課/郡の天然資源環境事務所

・土地登記書番号

・発行回数番号

・バーコード

・土地区画の位置コード

・土地の所在地(県/都、郡、村、番地)

・発行先

・土地使用権の取得手段

・使用目的

・土地の分類、区画

・土地登記書台帳情報

・土地番号、土地面積、縮尺

・土地の図面

・発行年月日、発行場所

・県、ヴィエンチャン都天然資源課課長の署名と印鑑

・四隅に「土地局」の文字と左右に土地ロゴマーク

・県・ヴィエンチャン都の天然資源環境課/郡の天然資源環境事務所

・土地登記書番号

・発行回数番号

・バーコード

・土地区画の位置コード

・土地の所在地(県/都、郡、村、番地)

・発行先

・土地使用権所有者の生年月日、国籍、職業、現住所

・配偶者の氏名、生年月日、国籍、職業

・土地使用権の取得手段

・土地使用権所有者の地位[1]

・土地の分類、区画

・土地登記書台帳情報

・土地番号、土地面積、縮尺

・土地の図面

・発行年月日、発行場所

・郡の天然資源環境事務所所長の署名と印鑑

裏面

記載なし

※但し、政府の土地を借用したり(コンセッション)、政府が分配する土地の土地使用権を期限付きで購入した場合に発行される登記書及び権原証書には、土地使用権の変動記録表が印刷されます。

土地使用権の変動記録表

※当該土地の所有者の移転経過を記録、例えば、担保権設定、抵当権設定情報など

4. コンドミニアム建設地の登録について

コンドミニアムを建設する土地に対する登記書及び権限証書の内容も上記3と同じ内容のものとなりますが、書面の右上には「天然資源環境省」という文字が入り、県・ヴィエンチャン都天然資源課課長が署名捺印します(合意第4条)。

 また、改正土地法第106条において、コンドミニアムを建設しようとする国内外の法人の事業者は、登記書及び権原証書に基づきコンドミニアム建設用地の土地の登録をする必要があると規定されています。

 

 

[1] 婚姻前から有する財産、夫婦共同財産、共同土地使用権のいずれかが記載されます。

以 上

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2021年03月09日(火)3:08 PM

ラオスにおける貴金属の輸出入業に関する合意についてニュースレターを発行しました。

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貴金属の輸出入業について

 

ラオスにおける貴金属の輸出入業に関する合意について

 

2021 年3月5日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1. 背景

ラオスでは、貴金属に関する主な法令は、2008年3月17日付「外国為替及び貴金属管理に関する国家主席令」及び2010年4月2日付「外国為替及び貴金属管理に関する国家主席令実施に関するガイドライン」の二つがあります。上記の法令において規定される貴金属は、ラオス中央銀行の管轄下にある「国際間の支払い使用される地金(延べ棒)」を指しており、それ以外の貴金属に関する詳細な規定はありませんでした。

今回、商工業省は、「貴金属の輸出入業に関する大臣合意(以下、合意)」を2021年2月26日付で発行しています。同合意においては、貴金属には、地金は含まれておりません。貴金属の定義、輸出入に必要な許可等について、次の通り、解説致します。

2. 貴金属とは

 同合意第3条によると、貴金属とは「銀や金の装飾品、ダイヤモンド、真珠、貴石、プラチナ及び貴石から作られたその他の物」と定義されており、下記表のHSコード[1](7102,7103,7104,7110,7111,7113,7114,7115,7116)の分類に基づいています。

但し、ラオス中央銀行が管理する装飾品の形式ではない、地金、金塊、銀地金、銀塊及び鉱山・エネルギー省が管轄する鉱石から作られる貴金属は含まれません。

 

HSコード

商品の名称

7102

Diamonds, whether or not worked, but not mounted or set.

7103

Precious stones (other than diamonds) and semi-precious stones, whether or not worked or graded but not strung, mounted or set; ungraded precious stones (other than diamonds) and semi-precious stones, temporarily strung for convenience of transport.

7104

Synthetic or reconstructed precious or semi-precious stones, whether or not worked or graded but not strung, mounted or set; ungraded synthetic or reconstructed precious or semi-precious stones, temporarily strung for convenience of transport.

7110

Platinum, unwrought or in semi-manufactured forms, or in powder form.

7111

Base metals, silver or gold, clad with platinum, not further worked than semi-manufactured.

7113

Articles of jewellery and parts thereof, of precious metal or of metal clad with precious metal.

7114

 Articles of goldsmiths’ or silversmiths’ wares and parts thereof, of precious metal or of metal clad with precious metal.

7115

 Other articles of precious metal or of metal clad with precious metal.

7116

Articles of natural or cultured pearls, precious or semi-precious stones (natural, synthetic or reconstructed).

3. 貴金属の輸出入業とは

海外から貴金属を購入して、ラオスに輸入後、卸・小売を行う又はラオス国内の生産者から購入し、海外へ販売するために輸出する事業と定義しています(合意第2条)

 4. 貴金属輸出入業の実施要件

 事業を実施するために必要な要件は、以下のとおりです(合意第5条)。

(1)会社法に則り合法的に登記した法人であること

(2)貴金属輸出入業の事業許可書を取得していること

(3)事業を実施するための資金及び資金源が確実であり、登録資本金の最低30%以上が法人の銀行口座に預金されていること

(4)事業実施者及び株主が犯罪歴、マネーロンダリング及びテロリズムに対する資金供与防止法第8条[2]に規定される違法行為に関連する前科がないこと

5. 事業許可証取得に必要な書類

 事業許可証を取得するためには、以下の書類を揃えて商工業省輸出入局(以下、輸出入局)へ提出します(合意第6条)。事業許可証は、首都ヴィエンチャンの輸出入局のみでしか発行しておりませんので、ご留意ください。必要な書類を提出後、3営業日以内に輸出入局は、許可証の発行の可否を審査して、申請者に結果を伝えます(合意第7条)。事業許可証は5年間有効で、条件を満たせば、更新も可能です。更新する場合は、期限が切れる30日前に手続きをする必要があります(合意第9条)。

 

(1)輸出入局所定の事業許可証申請書

(2)企業登録書の写し及び企業登録の際に提出した書類一式の写し

(3)過去90日間の事業実施者及び株主の銀行口座取引明細書及びラオスにある商業銀行からの資金証明書

(4)事業実施者及び株主の無犯罪証明書

 

[1] 「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められたコード番号

[2] Predicate offences are all criminal offences which are the cause of money laundering including offences committed outside the territory of the Lao PDR that cause proceeds ofcrime. These include frauds, robbery or theft, murder and grievous bodily injury, kid napping, illegal restraint and hostage-taking, illicit trafficking in stolen and other goods, counterfeiting currency, forgery, counterfeiting and piracy of products, corruption and bribery, sexual exploitation including sexual exploitation of child, trafficking human being and migrant smuggling, illicit trafficking in narcotic drugs and psychotropic substances, illicit trafficking of war arms and explosives, participation in an organized criminal group and racketeering, terrorism including financing of terrorism, environmental crime, tax crimes, insider trading and market manipulation, smuggling (including in relation to customs), extortion, piracy and others.

 

以 上

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2021年03月04日(木)12:53 PM

ラオスにおける外国人出入国管理に関する罰則規定についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

外国人出入国管理に関する罰則規定について

 

ラオスにおける外国人出入国管理に関する罰則規定について

 

2021 年3月4日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

コロナ禍において、陸路にてラオスに不法入国する外国人が後を絶ちません。また、先日、1年前に観光でラオスに入国した日本人が、コロナの影響で日本へ帰国できずに路上をさ迷っていたため、ラオス政府に保護され、人道的支援により、日本へ帰国することができたとの報道がありました(Vientiane Times 2月26日付)。

ラオス政府は、これまでも、特に不法労働者の取り締まりを定期的に実施してきましたが、今後さらに増加すると予想される不法入国、不法滞在、不法就労に対する厳格な措置として、外国人の出入国管理法の徹底と違反した場合の罰則規定(罰金と然るべき措置)に関する首相令(以下、首相令)を2021年1月20日付で発行しています。以下、ラオスでビジネスを実施する上でも気を付ける必要がある罰則規定を中心に解説いたします。

2. 罰則とは

 同首相令第2条によると、罰則は罰金とその他の措置の二つがあります。その他の措置は、罰金を科せられた上で、さらに課せられる処罰であり、指導、警告、事情聴取、24時間の拘束、違反に関する書類、道具、物及び乗物の押収、滞在許可の登録抹消、事業の停止及び撤退又は関連省庁に対して企業登録証及び事業許可証の返納要請を含みます。なお。外国人及び無国籍者[1]に対しては、強制送還の場合もあります。

3. 罰則規定について

(1)滞在許可期間を超えて滞在している場合(首相令第15条)

対象:外交ビザ、公用ビザ、配偶者ビサ、優遇ビザ、専門家ビサ、ビジネスビサ、学生ビサ、メディアビザ、労働ビザを保持している外国人及び無国籍者

罰金:超過日数1日につき10万キープ(約10ドル)

 

(2)許可を得ずに事業を行っていた場合(首相令第17条)

対象:企業登録又は事業許可書を取得せずに事業を行っている外国人及び無国籍者

罰金:1回目 400万キープ及び調書

   2回目 700万キープ、調書及び事業の一時停止

   3回目 1千万キープ、調書、事業の撤退、強制送還及び再入国禁止

 

(3)不法就労の場合(首相令第18条)

対象:許可を取得せずに就労している外国人及び無国籍者

罰金:1回目 一人につき100万キープ及び調書

   2回目 一人につき200万キープ及び調書

   3回目 一人につき1千万キープ、調書、強制送還及び再入国禁止

 

(4)許可を得ずに収入を得ていた場合(首相令第21条)

対象:ラオス国籍に保全のみに保全される事業を行って収入を得ている外国人及び無国籍者、合法的に許可を取得せずに、小売、飲食店、縫製、振り売り、廃品回収、マッサージ、美容室、爪切、体重測定屋、請負業、バイク修理業、家具製作などで収入を得ている外国人及び無国籍者

罰金:1回目 一人につき100万キープ及び調書

   2回目 一人につき200万キープ及び調書

   3回目 一人につき500万キープ、調書及び場合によっては強制送還及び再入国禁止

 

(5)不法就労の労働者を雇用した場合(首相令第22条)

対象:労働許可証、滞在許可証、労働ビザを所有していない外国人及び無国籍者を雇用した個人、法人及び団体

罰金:1回目 一人につき200万キープ及び調書

   2回目 一人につき400万キープ及び調書

   3回目 一人につき600万キープ、調書及び関連省庁に対して事業許可証の抹消要請、労働者の強制送還及び再入国禁止

 

(6)合法的に結婚登録する前に家庭を築く又は寝食を共に(夫婦のように生活する)した場合(首相令第25条)

対象:合法的に結婚登録する前にラオス国籍者と家庭を築く又は寝食を共にしている外国人及び無国籍者

罰金:1回目 一組につき400万キープ及び調書

   2回目 一組につき600万キープ及び調書

   3回目 一組につき800万キープ、調書及び場合によっては然るべき処罰

 

外国人又は無国籍者は、罰金と処罰の他に滞在許可証の抹消と強制送還の措置が取られる可能性がある旨も規定されています。

 

上記のほか、外国人及び無国籍者が滞在していることを治安維持関連当局に通知しなかった宿泊施設のオーナーや合法的に就労している労働者を目的と異なる仕事に就かせるなど管理義務を怠った場合も処罰の対象となっており、今回かなり厳格な規定がおかれましたので、ラオスに滞在している企業、日本人駐在員や出張者の方々は留意する必要があります。

 

[1] 外国人:ラオス国籍以外の国籍を保有し、ある任務のため契約に基づき、もしくは期限付きで一時的ないし長期的に滞在している外国人

無国籍者:ラオス領土内に暮らしている国籍を持たない外国人

 

以 上

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2021年02月22日(月)3:22 PM

ラオスにおける所得税法について(アップデート)ニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ラオスの所得税法について

ラオスにおける所得税法について(アップデート)

 

2021 年2月22日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

ラオスにおける所得税法は、2020年2月13日付「ラオスにおける所得税法の改正について」にて解説した通り、2020年1月から施行されています。今回、2021年2月10日付「所得税法履行に関するガイドライン」(Guidelines for Income Tax Law) (以下、ガイドライン)」が財務省より発行されました。同ガイドラインは、全86条で構成されており、新所得税法の内容が十分かつ明確でない点が多く、ガイドラインや細則のアップデートを待っておりました。今回のガイドラインは比較的詳細な内容となっています。下記の表にある所得の種類に従って、所得税法では、十分かつ明確に説明されていなかった、所得税の算出方法も含めて解説されています。

<ラオスにおける所得の種類>

法人税

・事業所得

・零細企業の事業所得

所得税

・給与所得

・配当による所得

・賃貸収入

・政府・行政機関のビジネスではない活動からの所得

・建物を含む土地使用権の売買、譲渡による所得

・景品、賞金からの所得(現金、現物)

・個人及び法人の株式譲渡にかかる所得

・宝くじによる所得(現金・現物)

・フリーランス・個人事業主の取得

・個人・法人によるオンラインによる売買の所得

・知的財産からの所得

・金融機関及び金融機関外を介しての貸付利息収入

・遺産相続による収入

・非居住者(ラオス国内に一時的に居住している個人を含む)の収入

 

2. 個人に対する納税者番号の発行について

同じく2月10日付で、財務省より「個人に対する納税者番号の発行について」の通知が出されました。これまでは、会社の登記と同時に、法人に対してのみ納税者番号が付与されており、個人の給与税は法人の納税者番号と紐ついておりました。今回、所得税法第6条において、個人も納税の義務があることが規定されており、それとの整合性をとる必要もありました。また、個人からの税金徴収は、企業からの給与に対する源泉徴収が主となっていましたが、新所得税法の導入で、年度末での確定申告制度も導入され、個人からの税金徴収が本格化するといえます(但し、準備が整っておらず、2021年度は実施されないのではないかと言われています。)。なお、上記1の表の所得税は、個人と法人の区別はありません。

3. 受取配当による所得

上記1.表中の配当に関して、ガイドラインに少し気になる規定がありましたので、紹介いたします。法人、個人を問わず、配当を受け取った場合、配当額の10%を受領した後、15日以内に管轄の税務署に納税する必要があります(所得税法第41条、ガイドライン第42条)。非居住者へ支払いをする場合、実務上、ラオス国内で登録された会社が源泉徴収し、代わって納税することになります。

配当額は、株主総会にて全会一致で決議する必要があり(ガイドライン第40条)、株主総会の決議書は、次の会計年度(会計年度が1月から12月の場合)の6月30日までに、管轄の税務署に通知する必要があります(ガイドライン第41条)。通知をしなかった場合、配当税額相当額を追徴される可能性があることを示唆する規定がありますので(ガイドライン第41条)、ご留意下さい。旧税法第39条[1]においても、同じような規定があり、配当に関する決議を行った株主総会の決議書を提出していなかったところ、税務署が年間の利益からみなし配当金を算出し、その10%を追徴されるケースがありました。

なお、配当が出ない年度の対応については、記載されておりませんが、配当はゼロであるということを、株主総会で決議をして、念のため、財務諸表を税務署に提出する際に、決議書も一緒に提出しておくことを推奨いたします。

[1] <旧税法第39条 法人税の納付>

…the minute of meeting of partners or shareholders regarding the profit use or dividend payment shall be submitted to the Tax Administration before the first of March each year. In the case of fail to submit or open the shareholders meeting, tax officials will calculate dividend tax according to the income statement within a year.

 

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2021年01月22日(金)6:28 PM

ラオスのPPP首相令の施行についてニュースレターを発行しました。

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ラオスのPPP首相令について

 

ラオスのPPP首相令について

 

2021年1月22日

One Asia Lawyers ラオス事務所

インフラ輸出プラクティスチーム

ラオスにおける官民連携プロジェクト(Public Private Partnership、以下、「PPP事業」)は、2020年6月28日付「ラオスPPP法草案の概要について」にて解説した通り、法整備等が十分に整備されないまま実行されてきました。

昨年末に開通したヴィエンチャン―ワンビエン間のラオス発となる高速道路は、中国企業による50年間のコンセッション事業であり、BOT(Build Operate Transfer)方式によるインフラプロジェクトとなっています。また、医療分野においては、「早期診断・治療による疾病予防」という国が掲げる目標を達成するために、国営の製薬会社と民間企業との連携が重要であるとしている一方で、保健省副大臣は、医療保健分野における、PPP事業の法的な枠組みや立て付けが明確でないため、PPP事業の推進のための法整備の拡充が必要だと述べています。

以上のように、ラオスの新聞や経済ニュース等では、最近、PPPという言葉を目にすることが多くなっており、ラオス政府は、ラオス国内の資金のみでの対応が難しい分野やラオス国内の高度な人材が乏しい分野において、積極的に(外国企業を含む)民間企業との連携を推進すること推奨しています。

2015年頃から検討が始まったPPP法ですが、ようやく2021年1月13日に官報に掲載、掲載後15日後に「官民連携等に関する首相令(以下、「首相令」)」として施行される予定となっています。2020年6月28日付「ラオスPPP法草案の概要について」では、国会審議前の草案の概要を説明致しましたが、大枠の内容については特に大きな変更はありませんでしたが、今回、PPP事業の定義、政府の方針及びPPP事業の承認プロセスについての新たな規定が確認できましたので、それらの点についてご紹介します。

 

  • 1. PPPの定義
  • 定義については、草案と比較すると、対象となる分野について一部修正がありました。首相令第2条によれば、PPP事業とは、「一定の期間において、PPP契約のもと実施される政府と民間の連携事業、又は、民間が政府のプロジェクト[1]に全投資する事業(民間による直接投資[2])をいう。例えば、新規建設プロジェクト、インフラ整備、公共サービス関連事業、その他、観光、農業、エネルギー、鉱山等の開発事業」と定義しており、今回、具体的な事業内容が追加されており、ラオス政府のPPP事業における具体的な重点分野や産業が明らかになったといえます。

 

  • 2. PPP事業に関する政府の方針 (4)
  • 草案には政府の方針は示されていませんでしたが、以下の通り、PPP事業を推進するために、PPP事業に対する恩典付与の可能性について言及しています。政府は、連携する国内外の民間企業を積極的に支援する方針としており、例えば、関税、税金、労働力、土地使用権、資金源、条件や環境の整備等についても、特別な措置を講じる可能性があると規定しています。

 

  • 3. PPP事業の承認機関について
  • 草案には記載はありませんでしたが、案件別による監督・承認機関が定められています。下記に記載されている案件は、一例となっており、これら以外の案件については、既存の法令等と鑑みて、最終的な監督承認機関が決定されますが、承認に関する一定の基準を示したことは評価できるといえます。

 

1)国会の承認が必要な案件(第28条)

  • 事業規模が3億米ドルを超える案件
  • 政府の出資額が200億キープ(約200万米ドル)以上
  • 原子力発電所の建設案件
  • 国の保護林及び保全林に影響する案件
  • 自然環境に大きな影響を与える案件(自然の水循環経路への影響、500家族以上の住民移転、1万ha以上の土地コンセッション事業など)
  • 特別な措置が必要な案件

 

2)県レベルの国民議会の決議が必要な案件(第28条)

  • 政府の出資額が200億キープ以下の案件
  • 100ha以下の荒廃林地に影響する案件
  • 1事業につき30~200haの不毛林地に影響する案件
  • 150ha以下の荒廃林地を最大30年間、リース又はコンセッションする案件
  • 自然環境に影響する案件

 

3)政府が承認する案件(第28条)

  • 政府が出資しない案件
  • 国の保護林及び保全林に影響しない案件
  • 自然環境に大きな影響を与えない案件及び500家族以下の住民移転など
  • 事業規模が3億米ドルを超えない案件
  •  

[1] 自然資源、政府の資産及び利権を使用した既存のインフラ開発や公共サービスの提供又は新規開発プロジェクト(Green field投資)

[2] 案件ごとに法令の規定に従い、政府または国民議会の承認または県議会の合意のもと、プロジェクトの経済・技術的実施可能性評価調査結果に従い、政府のプロジェクト開発において、民間セクターが投資の全責任を持つかたちで参入し、政府から支援を受ける投資形態。

 

 

以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

2021年01月14日(木)9:32 AM

ラオスにおける国営企業のガバナンスについてニュースレターを発行しました。

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ラオスの国営企業について

 

ラオスにおける国営企業のガバナンスについて

 

2021年1月14日

One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

ラオス国内には100社以上の国営企業が存在していますが、経営不振に陥っている国営企業の株式を民間企業に売却したり、民間に払い下げる動きが出ています。会社法では、国営企業に関する詳細は定められておらず、ガバナンスに関する規定が明確に定められていません。そこで、今回、昨年9月28日付で発行された「国営企業の取締役会に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」)」は、過去に発行された国営会社の株主や取締役の選任に関する規則をさらに詳細に規定したガイドラインとなっています。同ガイドラインは、昨年12月23日に官報に掲載、15日後に施行されています。ラオスにおける官民連携型のプロジェクト事例が増えてきており、国営のガバナンスについて、今回共有致します。

2.国営企業の定義

本ガイドライン第3条によれば、国営企業とは「政府が設立した事業体、全会一致で他の企業から国に事業体を移行、他の企業の株式を購入したことにより、政府が株式の51%以上を保有する事業体」と定義されています。

3.取締役会について

政府が100%の株式を保有する国営企業(以下、「100%国営企業」)においては、取締役会が、事業上の意思決定機関となっています。他方、政府が50%以上の出資しているが、100%国営企業ではない場合は、株主総会が、事業上の業務意思決定機関となります(第2条、4条)。

取締役会は、基本的には、議長、副議長、取締役会監督委員会の5人以上のメンバーで構成されています。メンバー総数の少なくとも10%は、女性が含まれる必要があります(第2条)。なお、任期は3年間で、再任も可能となっていますが、財務省又は株主総会による内部評価を経た上で、再任される必要があります(第20条)。

(1)議長・副議長(第4条)

議長は、財務大臣より選出・任命されます。副議長については、100%国営企業の場合は、財務大臣より選出・任命され、民間企業が出資している国営企業の場合(以下、「官民合弁」)は、政府関連機関及び株主の全会一致により、民間より選出されます。

(2)マネージング・ダイレクター(以下、「MD」)について(第4条)

MDは、取締役会より選任されます。場合によっては、財務大臣の任命により、副議長又は取締役会監督委員長が兼任することも可能です。官民合弁(政府が51%以上、99%以下の出資)の場合は、財務大臣が、候補者の中からMDを選出し、株主総会によって正式に任命します[1]

4.取締役会の開催について

取締役会の開催回数については、定款で定めることが可能となっています。通常、国営企業の場合、取締役会普通決議は、1年間に少なくとも最低2回開催されなければなりません(第11条)。

また、定足数は、取締役の過半数以上と規定されています。議決要件は、議決に参加できる取締役の半数以上の賛成が必要となっています(第11条)。また、書面で作成された取締役会決議書の作成、保管も必要です(第11条)が、こちらはラオス会社法と同様の内容です。

5.株主総会について

官民合弁(政府が51%以上、99%以下の出資)の場合は、株主総会が、業務上の意思決定機関となり、開催回数については、定款に定める必要がありますが、少なくとも、1年に1回以上開催する必要があります。

普通決議要件は、株主総会に出席した株主の3分の2以上の賛成、かつ、賛成した株主が総株式数の80%以上を保有する必要があり(第26条)、株式会社等の特別決議要件と同じ要件となっています。

[1] 政府が保有する株式が51%以下の事業体の場合は、民間より候補者を選出し、株主総会により決定されます。

 

以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
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2020年12月25日(金)12:34 PM

ラオスにおける信用保証会社についてニュースレターを発行しました。

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ラオスの信用保証会社について

 

ラオスにおける信用保証会社について

2020 年12月25日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1. 背景
2020年9月のニュースレターにおいて、民法典に基づいた担保制度について解説いたしました。その中で、人的担保制度について述べましたが、それと関連して、2020年12月21日付けで信用保証会社に関する合意(以下、「本合意」)が中央銀行から発行されましたので、概要をご紹介いたします。

2. 法律上の定義
本合意第3条によれば、信用保証会社が提供するサービスとは、「債務者が債権者に対して契約に基づいて債務が履行できなくなった場合、債務者に代わって清算することを保証するために債権者に対して信用保証書を発行することにより、債務者の義務を保証するサービス」と定義されます。

3. 会社設立について
信用保証業者に関する許可取得要件は次の通りとなっています。

(1)登録資本金
最低登録資本金は、1,000億キープ(約1,000万米ドル)以上と規定されています。現物出資は許容されていますが、登録資本金額の25%を超えることはできません(財産評価会社による評価額を基準として判断)。また、登録資本金は、ラオス中央銀行の口座に預金する必要があります(第12条)。

(2)取締役会
取締役会は、議長、副議長、役員(取締役)より構成されます。役員は5人以上、7人以下と規定されています。役員の中から、マネージング・ダイレクター(MD)及び副MDを選出する必要があります。なお、MDは取締役会の議長、副議長になることはできません。なお、任期は3年間で、再任も可能となっています(第18条)。

(3)取締役会監督委員会及びリスクマネジメント委員会
リスクマネジメント委員会は、取締役会の役員から3人選出され、その中の一人は取締役会監督委員会の委員長である必要があります(第20条、第21条)。

4. 事業許可取得要件
本合意第7条によれば、信用保証会社を設立しようとする者は、商工省、都・県商工局等で企業登録を行った後、ラオス中央銀行金融機関管理局(以下、「金融局」)より事業許可書を取得する必要があります。事業許可取得に必要な書類の中には、FSをはじめ多くの書類を要求されますが、すべてラオス語で作成する必要があります。

また、合弁契約書・株主間契約書、定款は、公証役場又は登録機関で認証・登録済みであること、外国語からラオス語へ翻訳した文書については、公証役場又は翻訳会社からの認証があることが求められています(第8条)。

なお、金融局は、完全に揃った書類を受理後、30日以内に審査結果を通知します。金融局は書類の審査と同時に、株主としての以下の要件を満たしているかどうかについても審査します(第9条)。

<株主が法人の場合(第10条)>
(1)3年以上利益が継続して出ているビジネス(利益が継続して出ていること)及び累積赤字でないこと
(2)財政状況が安定していること
(3)自身の会社の株主構成が明確であること
(4)マネーロンダリング又はテロ資金供与に関わるブラックリストに登録されていないこと

<株主が個人の場合>
(1)資金源が十分かつ明確であること
(2)大株主(10%以上保有)の場合、適切な資格と実務経験を有していること
(3)刑事事件に関する犯罪歴(横領、詐欺等)がないこと
(4)マネーロンダリング又はテロ資金供与に関わるブラックリストに登録されていないこと

5. 事業内容
信用保証会社は、保証業務のほかに、ラオス中央銀行及び関連する機関より許可を得た別の事業を行うことが可能です(第25条)。
信用保証会社は、個人に対しては、登録資本金額の最大15%、信用運用資金の最大80%を保証範囲とすることが定められています。他方、グループに対しては、登録資本金額の最大20%までが保証範囲となっています。
また、保証額総額は、登録資本金の最大15倍までと規定されています(第26条)。

6. 罰則規定
本合意の規定に違反した場合、2回目の警告と同時に200万キープから2,000万キープ又は1日100万キープの罰金が科せられます。3回目の警告の後、是正されない場合は、180日間の事業停止又は会社役員の除名等を中央銀行より命じられます。それでも、改善されない場合は、最終的には事業許可証のはく奪及び会社の清算が命じられる可能性があります(第49条)。

 

以 上

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