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2021年10月18日(月)10:00 PM

タイにおける新システムによるVAT登録及び関連書類提出方法について報告いたします。

新システムによるVAT登録及び関連書類の提出方法について

 

 

 

タイにおける新システムによるVAT登録及び関連書類提出方法について

                                   2021 年 10月 18 日
                               One Asia Lawyers タイ事務所

1.はじめに

2021年8月24日のニュースレター[1]でお伝えした通り、2021年2月9日にタイ国外から提供される電子サービスに対する付加価値税(以下、 「VAT」)の徴収を規定した改正歳入法第53号(以下、「法第53号」)が成立し、2021年9月1日に施行されています。改正により歳入局と事業者[2]がオンライン上で納税関連文書のやり取りを含めた各種手続きを行えるようになりました(法第53号3条の16)が、その規則や手順については省令で別途定めることとされていました。

その後8月23日に発出された財務省令第377号(以下、「省令第377号」)により、電子的手段によるVAT登録や書類提出等の各種手続きにおける規則及び手順が明らかになり、さらに電子的手段として、歳入局はVES(VAT for Electronic Service)システム[3]を新たに導入しました。

省令第377号は「第1章:証拠書類[4]の作成、提出、受領、保管」と「第2章:VAT登録」の2部構成となっており、以下の通りそれぞれ解説致します。

2.証拠書類の作成、提出、受領、保管について

事業者はVESシステムにより申請書や書類の作成、提出、及び受領等の手続きを行うことが可能となります。

証拠書類の作成および保存は、少なくとも電子取引法と同等の基準で、①書面が変更されることなくアクセス及び復元が可能であること、②証拠書類を保存する際は信頼できる方法で行うことが求められています。①については、歳入局より、現在はPDFファイルのみ提出可能となっており、将来的にはZIPファイルの提出も可能となるようにシステムを改善中と回答を得ています。また、②については、歳入局では特定の方法を指定していないとの回答を得たため、電子取引法を監督するデジタル経済社会省(MDES)に照会したところ、電子取引法においても信頼できる書類の保存方法については明確な定義や要件は規定されていませんが、パスワード等でアクセス制限を設けておくことを推奨するとの回答を得ています。

VESシステムによる証拠書類の提出後は、当該書類の詳細及び受領日時が記載された認証メッセージが送信され、この受領をもって、証拠書類の提出が完了したものとみなされます。

3.VAT登録について

VES(VAT for Electronic Service)システムは今後、事業者がVAT登録、VAT登録情報の変更、VAT登録の取消し、または、VAT 登録に関連するその他の手続きを行う際にも利用されます。事業者は年間売上高が180万バーツを超えた日から30日以内にVAT登録を行わなければならない(歳入法第81/1条)ため、法第53号の施行開始日時点で既に売上が180万バーツに達している事業者は、早急にVESシステム上でVAT登録を行う必要があります。システム上でVAT登録が承認された場合は、従来のVAT登録証(PorPor20)に代わり、VESシステム上の登録事業者リストに掲載されます。

4.おわりに

10月18日現在、海外企業の登録件数は98件となっており、その内日系企業の登録も数社確認できています。法第53号は既に施行開始されているため、電子サービスをタイ国外からタイ国内で利用する非VAT登録者(個人消費者など)に提供する企業は、早急に対応する必要があるといえます。

 

[1] https://oneasia.legal/7325

[2] 海外の電子サービスをタイ国内で利用する非VAT登録者(個人消費者など)に提供する企業を指し、電子サービス提供者だけでなく、電子プラットフォーム提供者も含む。

[3] https://eservice.rd.go.th/rd-ves-web/landing

[4] オンライン上でのVATの計算、提出、送金、課税、登録、還付、不服申し立て等に関する召喚状、納税通知書、申請書、報告書等を意味する。

                                                以上 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
miho.marsh@oneasia.legal (マーシュ美穂)

2021年09月30日(木)11:44 AM

タイにおける中小企業に対する与信期間の設定について報告いたします。

中小企業に対する与信期間の設定について

 

 

 

       タイにおける中小企業に対する与信期間の設定について
                               2021 年 9 月 30 日
                          One Asia Lawyers タイ事務所
1 はじめに
2021 年 5 月 24 日、取引競争委員会より「中小企業が商品販売者またはサービス提供者
である場合の与信期間に関するガイドライン(以下、「本ガイドライン」)」が発布さ
れました。本ガイドラインは、取引競争法第 57 条の下位規範として、中小企業が取引
先に提示される不当な与信期間により被り得る不利益を回避し中小企業を保護すること
を目的に制定され、中小企業と取引を行う全ての事業者に対し、施行開始日である
2021 年 12 月 16 日により適用されます。
2 中小企業とは
本ガイドラインで保護される中小企業は以下の通りとなっています(本ガイドライン第
2 条)。
(1) 200 人以下の従業員を雇用する、または年間売上高が 5 億バーツ以下の製造者
(2) 100 人以下の従業員を雇用する、または年間売上高が 3 億バーツ以下のサービス提供者、
卸売業者、または小売業者
なお、中小企業は取引先に対し、本ガイドラインが定める中小企業に該当することを従
業員数または売上高を証明する書類の提示を以て、証明する必要があります(本ガイド
ライン第 4 条 2 項)。中小企業と取引を行う企業は定期的(契約締結時または更新時な
ど)に当該書類の提出を求め、本ガイドラインが定める中小企業に該当しているかを確
認することが好ましいと考えます。
3 本ガイドラインが定める与信期間
中小企業が一般的な商品販売者、商品製造者、サービス提供者である場合、与信期間を
45 日またはそれ以下に設定しなければなりません。ただし、中小企業が農産物または
農産物の加工品(製造工程が複雑でないもの)だけを取り扱う商品販売者、商品製造者、
サービス提供者である場合、与信期間を 30 日以下に設定する必要があります(本ガイ
ドライン第 4 条(1))。
つまり、既に上記より長い与信期間での合意がなされている場合でも、原則として本ガ
イドラインの施行開始日前までに改定する必要があります。
なお、ビジネス、マーケティング、または経済的な観点から合理的であるとみなされる
場合は、上記の与信期間より長く設定することも可能であると規定されています(本ガ
イドライン第 4 条 2 項)が、例外として認定されるかはケースバイケースで担当官の判
断に委ねられると考えます。取引競争委員会に照会したところ、取引先の親会社の規定
で与信期間を 60 日に設定しなければならない場合でも、例外としては認められないと
の回答を得ています。
4 与信期間の起算日
上述した与信期間の起算日は、中小企業が商品を納品またはサービスを提供し、かつ納
品書や請求書等の必要書類を提出した日となります。商品の納品後、請求書が後日発行
されるような場合は、請求書の発行日が起算日となります。また、委託販売の場合は中
小企業による商品販売日が起算日となります(本ガイドライン第 4 条(2))。
5 違反とみなされ得る行為及び罰則
本ガイドライン第 5 条において、違反とみなされうる行為として以下の行為が挙げられ
ています。
• 商品またはサービスの代金支払時期が、正当な理由なく、本ガイドラインで
定めた与信期間より遅れること。
• 正当な理由や 60 日以上前の事前通知なく、契約で定めた与信期間または支
払条件を変更すること。
• その他の不当行為。例えば、契約上で与信に関する特別条項を規定し、中小
企業に不要な負担を強いること。
本ガイドラインの違反者は、違反を犯した年の売上高の 10%を超えない額の罰金を科
される恐れがあります(取引競争法第 82 条)。 

                                    以上 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)

2021年09月01日(水)10:12 AM

タイにおけるVAT税率据え置きについて報告いたします。

VAT税率据え置きについて

 

 

 

タイにおけるVAT税率据え置きについて

 

2021年8月31日

One Asia Lawyersタイ事務所

商品の販売、サービスの提供、及び輸入に係る付加価値税(以下、「VAT」)税率が2566(2023)年9月30日まで7%に据え置かれることが決定され、2021年 8月27日に勅令第324号[1]が官報に掲載されました。

タイのVATは1991年の改正歳入法により第80条で10%と定められていますが、同条2項において、勅令を制定することによりこれを引き下げることができると規定されています。そのため、1999年[2]以降勅令が発布され続け、VAT税率が7%に据え置かれてきました。

今回の措置は、国民の支出軽減、民間企業の救済、そして新型コロナウイルスにより多大な影響を受けた国の経済の安定化を目的としています。

なお、VAT税率7%は国税(6.3%)と地方税(0.7%)で構成されます。勅令第324号は歳入法第80条に基づくVAT税率の引き下げを行うものとし、その税率を6.3%とすると規定していますが、地方税0.7%については2534(1991)年地方自治体へのVAT分配と特別事業税に関する法律及び2534(1991)年地方自治体歳入法(第3号)により、地方自治体に代わって歳入局がVATの九分の一を徴収することと定められています。つまり、6.3%の九分の一である0.7%が地方税として加えられ、合計7%がVATとして徴収されます。

 

[1] http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2564/A/054/T_0001.PDF

[2] 2542(1999)年勅令第353号

http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2542/A/022/91.PDF

以上 

〈注記〉
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2021年08月24日(火)9:57 AM

タイにおけるVAT 課税に関する歳入法の改正について報告いたします。

VAT 課税に関する歳入法の改正について

 

 

 

タイにおけるVAT 課税に関する歳入法の改正について

 

2021年8月24日

One Asia Lawyersタイ事務所

 

1.はじめに

2021年2月9日、タイにおいて、海外から提供される電子サービスからの付加価値税(以下、「VAT」という)の徴収を規定した歳入法B.E.2481(1938)の改正を目的とした改正歳入法(No.53)B.E.2564(2021)(以下「法第53号」という)が成立した。2021年9月1日に施行される予定である。

以下、その改正点を詳述する。結論を先に述べると、改正によって、海外の「電子サービス」(下記の定義規定参照)をタイ国内で当該サービスを利用する個人消費者などの非VAT登録者に提供する事業者(以下「対象事業者」という)は、VAT登録の義務を負い、(仕入VAT及び売上VAT間の相殺を行わずに)VATを支払わなければならず、タックスインボイスの発行も禁止されることとなる。そして、「電子プラットフォーム」(下記の定義規定参照)運営者は、対象事業者がそのプラットフォームを通じて上記サービスの提供を行う場合、その対象事業者に代わってVAT支払い義務を負い、その義務と責任はその対象事業者と同等のものとされる。

2.納税関連文書等について

改正により、作成及び提出等の対象となる納税関連文書が明示的に拡大された。

これらの文書等については、改正前は「電子取引法で定める規則に準じて」作成及び提出することと定められていたのに対し、改正後は「省令で定める規則及び手続きに従って」(当該省令は、まだ発布されていない。)作成及び提出することと定められた。

これにより、改正後は、これらの文書等を改正前と異なる規則にしたがって、電子的方法によって作成及び提出することができるものとした。

 

第3条の16〔改正前〕

納税に関連する報告又は文書の提出、及びその他の歳入法に基づく文書の作成は歳入局長が定めた規則、手順、及び条件に従って電子的方法により行うことができる。この場合、電子取引法で定める規則に準じなければならない。

第3条の16〔改正後〕

召喚状、納税通知書、帳票、タックスインボイス、報告書、証拠書類、その他歳入法に基づいて入手、発行、使用しなければならない書簡、歳入局が納税者やその他の者と連絡を取るために使用しなければならない書類、証拠書類、書簡、又は納税者やその他の者が歳入局と連絡を取るために使用しなければならない書類、証拠書類、書簡は、省令で定める規則及び手順に従って電子的手段を用いて作成することができる。

第1項の省令は、電子取引に関する法律に準拠した文書の作成、提出、受領、保管のための関連規則及び手続きを定めるものとする。

 

3.定義

  • 「商品」について

改正により「商品」の定義から、インターネット又はその他の電子ネットワークを介して配信される無形の財産が明示的に排除された。

 

第77/1条9項〔改正前〕

「商品」とは、販売、使用、その他の目的の有無にかかわらず、価値を有し、所有することが可能な有形又は無形の財産を指し、すべての輸入品を含む。

第77/1条9項〔改正後〕

「商品」とは、販売、使用、その他の目的の有無にかかわらず、価値を有し、所有することが可能な有形又は無形の財産を指し、すべての輸入品を含む。ただし、インターネット又はその他の電子ネットワークを介して配信される無形の財産を除く。

 

  • 「電子サービス」及び「電子プラットフォーム」について

改正により、新たに「電子サービス」及び「電子プラットフォーム」が定義された。

 

〔改正前〕

規定なし

第77/1条10/1項〔改正後〕

「電子サービス」とはインターネット又はその他の電子ネットワークを介して配信される無形の財産の提供を含むサービスで、基本的に自動化され、かつ、情報技術を使用せずには提供することが不可能なサービスを指す。

第77/1条10/2項〔改正後〕

「電子プラットフォーム」とは、多くのサービス提供者がサービス受領者に電子サービスを提供するために使用するマーケット、チャンネル、その他の手続きを指す。

 

4.VAT課税について

  • 課税範囲と電子プラットフォームに課される義務について

改正により、従来の条項(以下「第1項」という)に加えて、第2項及び第3項が加えられた。

第2項によれば、対象事業者は、第1項の適用がなく、仕入VATを控除せずに売上VATを計算し、VATを支払わなければならない。そして確定申告書類を提出し、第83条にしたがって納税しなければならない。

第3項によれば、対象事業者が電子プラットフォームを通じて電子サービスを提供する場合に、電子プラットフォーム運営者はその対象事業者に代わってVATを支払う義務を負う。電子プラットフォーム運営者の義務と責任は、対象事業者と同等とされる。

 

第82/13条〔改正前〕

タイ国外の事業者が、第85/3項に基づくVAT登録を行わずに、一時的にタイ国内で物品の販売又はサービスの提供を含む事業を行っている場合、又は事業者がタイ国外からサービスを提供しそのサービスがタイ国内で使用される場合、事業者はVATを支払う義務がある。事業者は、納税義務が発生した時点で、第三部に基づく課税ベースと第80条又は第80/1条に基づく課税率から算出したVATの支払いを行わなければならない。

第82/13条〔改正後〕

第1項

タイ国外の事業者が、第85/3項に基づくVAT登録を行わずに、一時的にタイ国内で物品の販売又はサービスの提供を含む事業を行っている場合、又は事業者がタイ国外からサービスを提供しそのサービスがタイ国内で使用される場合、事業者はVATを支払う義務がある。事業者は、納税義務が発生した時点で、第三部に基づく課税ベースと第80条又は第80/1条に基づく課税率から算出したVATの支払いを行わなければならない。

第2項

第1項は、事業者が海外から電子サービスを提供しそのサービスをVAT非登録者がタイ国内で利用する場合には適用されない。この場合、当該事業者は仕入VATを控除せずに売上VATを計算することでVATを支払う必要がある。当該事業者は、確定申告書を提出し、第83条に従って納税しなければならない。

第3項

第2項の事業者が、電子プラットフォームを通じてサービスの提供、サービスの対価の受領、サービスの配信、及びその他歳入局長が定める行為からなる連続したプロセスで、電子サービスを提供する場合、当該電子プラットフォーム運営者は、各事業者のサービス提供内容を分類することなく、すべての事業者に代わってVATの支払義務を負う。また、当該電子プラットフォーム運営者は、第2項の事業者と同等の義務及び責任を負うものとする。

 

  • VAT支払い義務を有する主体について

改正により、第83/6条(2)に但書きを加え、(a)(b)同上

 

第83/6条〔改正前〕

商品やサービスの支払いが以下の事業者に対して行われた場合、支払いを行う者は事業者が支払い義務を有するVATを送金する義務がある。

(2)   海外からサービスを提供している事業者で、当該サービスがタイ国内で利用されている場合。

第83/6条〔改正後〕

商品やサービスの支払いが以下の事業者に対して行われた場合、支払いを行う者は事業者が支払い義務を有するVATを送金する義務がある。

(2)   海外からサービスを提供している事業者で、当該サービスがタイ国内で利用されている場合。ただし、以下の事業者に限る。

(a) 電子サービスをVAT登録者に提供する事業者

(b) 非電子サービスを全消費者に提供する事業者

 

  • VAT登録が不要とされる事業者について

改正により、第85/3条(2)に但書きを加え、(a)(b)の条項を加えたことによって、例外的事業者のみが、VAT登録が不要とされた。これにより、例外的事業者でない対象事業者は、VAT登録義務を負うことが確認された。

 

第85/3条〔改正前〕

以下の事業者はVAT登録を不要とする。

(2)   海外からサービスを提供している事業者で、当該サービスがタイ国内で利用されている場合。

第85/3条〔改正後〕

以下の事業者はVAT登録を不要とする。

(2)   海外からサービスを提供している事業者で、当該サービスがタイ国内で利用されている場合。ただし、以下の事業者に限る。

(a) 電子サービスをVAT登録者に提供する事業者

(b) 非電子サービスを全消費者に提供する事業者

 

5.タックスインボイス発行が禁止される事業者について

改正により、対象事業者はタックスインボイスの発行が禁止された。

 

第86/1条(1/1)〔改正前〕

規定なし

第86/1条(1/1)〔改正後〕

(1/1) 海外から電子サービスを提供している事業者で、当該サービスがタイ国内で非VAT登録者により利用されている場合。

 

6.おわりに

2021年6月10日に発行されたバンコク・ポスト紙の報道によれば、財務省財政事務局(Fiscal Policy Office)のクラヤ・タンティミット局長が、タイの法律では、タイに恒久的施設(PE)を持たない企業(以下、「オンライン企業」という)に法人税を課すことは認められていないため、現在、財政省では、タイでサービスを提供するオンライン企業に法人所得税を課す方法を検討していると発言した。その発言は、G7財務大臣協定における、各国が低税率を維持することによって多国籍企業の誘致競争を止めるべき旨の定めを受けたものである。このことから、今後、海外に拠点を有するオンライン企業に法人税を課すことに関する法改正が成立する可能性があるため、今後の動向を注視していく必要がある。

以上 

〈注記〉
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2021年08月09日(月)2:45 PM

タイにおける従業員が死亡した場合の葬儀費用について報告いたします。

従業員が死亡した場合の葬儀費用について

 

 

 

従業員が死亡した場合の葬儀費用について

 


                                    2021年8月9日
                              One Asia Lawyersタイ事務所

2561年(2018年)改正労働災害補償法第16条[1]では、従業員が通勤途中または雇用者の命令による作業中に死亡したまたは行方不明となった[2]場合、従業員の葬儀主催者に対し省令で定める葬儀費用を支払うよう雇用者に義務付けています。

 これに伴い、2020年3月26日に2563年(2020年)雇用者が支払う葬儀費用のレートを定める労働省令(以下、「2020年省令」)が発布され、施行開始日である2020年12月9日以降、雇用者は従業員が死亡した場合に4万バーツを葬儀費用として葬儀主催者に支払うよう定められていましたが、現在の経済状況に伴い、今回「2564年(2021年)雇用者が支払う葬儀費用のレートを定める労働省令[3](以下、2021年省令)」が発布され、その費用が5万バーツに改定されました。つまり、雇用者は2020年省令の施行開始日である2020年12月9日以降2021年7月11日までに従業員が死亡した場合は2020年省令で定める4万バーツを、2021年省令の施行開始日である2021年7月12日以降は5万バーツを葬儀費用として支払う必要があります。

 なお、当該費用の支払いは雇用者に義務付けられているものの、実際には雇用者が毎年納める労災基金から支払われることになります。

 また、通勤途中または雇用者の命令による作業中以外の理由で従業員が死亡した場合で、死亡前6ヵ月間のうち最低1か月間の社会保険料を納めていた場合は、社会保険基金より葬儀費用として5万バーツが支払われることになります。

[1] 第16条 従業員が怪我や病気により死亡した場合または行方不明の場合、使用者は従業員の葬儀主催者に対し、省令で定めたレートに基づき葬儀費用を支払うこと。

[2] 従業員が通勤途中または使用者の命令による作業中に事故等に遭い死亡したと想定される場合で、陸上、海上、水上による通勤途中で、乗車中の乗り物が事故等に遭遇し、当該事故等から120日以上従業員が見つからず、死亡したと想定される場合を含む。

[3] http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2564/A/045/T_0066.PDF

 

以上 

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2021年07月12日(月)9:01 PM

タイ・シンガポール間のリアルタイム送金システムの相互接続について報告いたします。

リアルタイム送金システムの相互接続について

 

 

 

タイ・シンガポール間のリアルタイム送金システムの相互接続について


                                    2021年7月12日
                              One Asia Lawyersタイ事務所

1 はじめに

2021年4月29日、タイ中央銀行とシンガポール金融管理局は、タイの「PromptPay」とシンガポールの「PayNow」のリアルタイムのデジタル送金システムの連携を開始したと発表した。これにより送金相手の電話番号さえわかれば、スマートフォンの銀行アプリを利用してたった数分でタイ・シンガポール間の送金が可能となり、世界でも初の試みとなる。

2「PromptPay」及び「Paynow」とは?

どちらも銀行口座に携帯電話番号を紐づけることにより、タイまたはシンガポール国内での送金を即座に可能とするデジタル送金システムであり、タイでは2016年6月の導入後、4,000万口座以上がPromptPayサービスに接続済と報告されている。利用希望者はそれぞれの国の提携銀行[1]にて「PromptPay」または「PayNow」の利用登録申請を行う必要があるが、登録が完了すれば送金時に受取人の氏名や銀行口座情報などを入力する必要はなくなる。

3 送金手数料・送金上限額

「PromptPay」を利用しタイからシンガポールに送金した場合の手数料は、2021年7月31日まで1件につき75THB、2021年8月1日以降は1件につき150THBとなっている。

また、シンガポールへの送金額上限は1日当たり1,000シンガポールドル(1日の送金額合計が上限以下であれば、送金回数に制限なし)、タイでの受け取り上限は1件当たり2万5,000バーツまで(複数の送金者から何度でも受け取り可能)と設定されているが、今後上限額は拡大していく見込みである。

4 同一名義口座への送金

タイ国籍保持者によるタイ国内の自身の口座とシンガポール国内の自身の口座間の送金は認められていないが、外国人についてはその旨規定されていない。そのため外国人に限っては、同サービスを利用し自己資金をタイ・シンガポール間で移動させることも可能であると考えられる。

5 さいごに

タイ中央銀行はシンガポールとの連携だけでなく、他のASEAN諸国とのデジタル決済システムの連携も強めている。カンボジア、ベトナム、日本、ラオスとの間では現在QRコードによる決済が可能で、インドネシア及びマレーシアも近いうちに連携が開始される予定となっている。現在タイ・シンガポール間の送金においてQRコードによる決済は導入されていないが、今後も引き続き動向を注視していく必要がある。

[1] 2021年4月29日にBOTが公表したQ&Aによると、本デジタル送金システムの利用が可能なタイ側の提携銀行はバンコク銀行、クルンタイ銀行、カシコン銀行、サイアム商業銀行、シンガポール側の提携銀行はDBS銀行、OCBC銀行、UOB銀行となっている。

以上 

〈注記〉
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2021年07月12日(月)8:46 PM

ビットコインに関するタイ中央銀行の見解について(速報版)報告いたします。

ビットコインに関する速報版について

 

 

       ビットコインに関するタイ中央銀行の見解について(速報版)
                                    2021年7月12日
                              One Asia Lawyersタイ事務所
2021年6月9日にエルサルバドル議会でビットコイン法が可決、同国では9月7日よりビットコインが法定通貨となる可能性がある。
この点、タイ政府は、2021年7月8日にプレスリリース第49/2021号 において、タイ中央銀行はデジタル資産による決済等を求める声を認識しているものの、ビットコインはタイにおいて引き続き法定通貨として認められず、ビットコインで支払われる取引は物々交換とみなされ、投資家は保有するリスクを理解する必要がある旨の見解を示している。

 

以上 

〈注記〉
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miho.marsh@oneasia.legal (マーシュ美穂)

2021年05月30日(日)9:26 PM

タイにおける電子署名について報告いたします。

電子署名について

 

タイにおける電子署名について

2021年5月28日

One Asia Lawyersタイ事務所

  • 1.はじめに
  • 新型コロナウイルスの流行に伴い電子取引が進む中で、電子署名についてのお問合せを非常に多く受けています。タイにおける電子署名の要件及び留意点を以下の通り解説致します。
  • 2.タイ法上求められる要件
  • タイでは、2001年電子取引法[1]第26条1項で定める「信頼できる電子署名」の要件を満たした電子署名であれば、タイ法上有効であると解されています。
  • 同法第26条1項
  • (1) 作成された署名データが、使用される文脈の中で、署名者と紐づけられていること。

(2) 作成された署名データが、電子署名の作成時に、署名者の管理下にあったこと。

(3) 電子署名の作成後に行われた変更が検出可能であること。

(4) 情報の完全性を保証することが電子署名に求められる法的要件である場合、署名時以降にその情報に加えられた変更が検出可能であること。

上記の要件をどのように充足すれば良いのかは同法上、明文化されていませんが、電子取引開発機構(Electronic Transactions Development Agency, 以下「ETDA」)は別途ガイドライン23-2563号4.2.1条[2]において、電子署名を利用する場合の本人確認には、AAL2レベルを要するとされ、AAL2レベルについては、ガイドライン20-2561号2.2条[3]で以下の通り規定されています。

(1)Multi-factor authenticatorを利用する方法

例:銀行から配布されるOTP (ワンタイムパスワード) デバイスのようなものを利用し、適宜認証コードをデバイスから取得し、それをシステム内に入力する方法

(2)Single-factor authenticatorを利用する方法(2段階認証を要する)

例:ログイン画面でパスワードを入力し、さらに携帯電話に送信されたOTPを入力する方法

また、電子取引法では明文化されていませんが、ガイドライン23-2563号4.2.2条では「署名者が自身の署名行為について明確に意思を表示していることを認めるプロセスまたはその証拠を有していること」または「署名者自身が意思を表明した内容に対して電子署名を付すこと」と記されており、利用する電子署名がこれを満たす機能を有しているかについてご確認頂く必要があると考えます。

3.利用上の留意点

 電子署名を用いた電子契約を利用するにあたっては、以下について留意頂く必要があります。

(1)共同署名の可否

タイの会社の場合、複数の署名権限取締役の共同署名が必要であると登記されている場合には、複数の署名権限取締役による電子署名が必要となります。利用する電子署名サービスがこのような場合に対応できるかを確認頂く必要があります。

(2)会社印(カンパニーシール)の押印

タイでは、会社登記上、署名権限を有する取締役の署名だけでなく会社印も必要であると定められているケースが多く、その場合には、電子署名に加え会社印の押印も必要となります。

電子取引法上、会社印にも9条1項の規定が準用されるとの規定(9条3項)が存在するため、電子的な会社印の押印も有効となり得ると考えます。具体的には、会社印の印影データを電子文書に貼り付けることといった方法が考えられますが、利用する電子契約サービスがこのような場合に対応できるかを確認頂く必要があります。

(3)電子署名の信頼性と契約書の真正性

万が一電子契約の真正が争われた場合(例えば、売買契約の相手方企業がそのような契約をしてないと争ってきた場合)、契約が有効であると主張する者(つまり、御社)が、その契約書に付された双方当事者の電子署名が電子取引法26条に基づく「信頼できる電子署名」であることを立証できれば、 契約書に付された双方当事者の電子署名が有効であるものと推認され、その契約書が真正なものであることを強く裏付けることができます。 この場合、電子署名の真正についての立証責任が転換され、電子署名が無効であることを主張する相手方企業がその立証をすることとなります。

タイの裁判所で電子契約書の署名の真正について争いになった場合、裁判所に対し、利用した電子署名について技術的に説明を行う必要がありますが、電子署名の利用が進んでいないタイの現状に於いて、裁判所にその説明を行うことは骨が折れる作業になることが想定されます。

  • 4.電子署名を利用できないケース
  • 以下のケースにおいては、書面上に手書きの署名が求められており、電子署名の利用は認められていませんのでご留意下さい。
  • 不動産売買契約(民商法第456条)
  • 3年を超える不動産の賃貸借契約(民商法第538条)
  • 抵当権設定契約(民商法第714条)
  • 家族及び相続に関する取引(2006年電子取引法が適用されない民事および商取引の種類を定めた勅令)
  • 5.さいごに
  • 結論として、電子取引法第26条1項で定める要件を全て満たした電子署名はタイ法上真正なものと推認されますが、これらの要件のいずれかを満たせない場合でも、直ちに署名が無効と判断されるわけではありません。
  • しかしながら、タイ企業と電子署名サービスを利用して電子署名を用いた電子契約を利用するにあたっては日本国内で日本企業同士で行う場合よりもハードルが高いため、非常に重要な契約であり無効となるリスクも負いたくないと考える場合は、これまでどおり通常の書面での契約の締結を推奨致します。

[1] http://web.krisdika.go.th/data/outsitedata/outsite21/file/ELECTRONIC_TRANSACTIONS_ACT,B.E._2544.pdf

[2] ETDA Recommendation on ICT standard for Electronic Transactions:https://standard.etda.or.th/wp-content/uploads/2020/06/20200529-ER-E-Signature-Guideline-V08-36F.pdf

[3] https://standard.etda.or.th/wp-content/uploads/2019/02/20171204-ER-DigitalID-Authentication-V08-21F.pdf

 

以上 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
masaki.fujiwara@oneasia.legal(藤原 正樹)
miho.marsh@oneasia.legal (マーシュ美穂)

2021年05月14日(金)8:16 PM

タイにおける不動産担保型ICOの概要について報告いたします。

不動産型ICOについて

 

タイにおける不動産担保型ICOの概要について

2021年5月14日

One Asia Lawyersタイ事務所

1.はじめに

2021年2月11日にThe Securities and Exchange Commission of Thailand(以下、「SEC」)からInitial Coin Offering (以下、「ICO」)に関する告示第5号[1](以下、(「本告示」)が発行され、3月1日から施行されています。

本告示の主な改正点として、不動産担保型ICOに関する新規則の追加が挙げられます。不動産担保型ICOは、不動産を担保としてICOを行い、その不動産を貸し出すことにより賃料収入などの収益を得ることを目的としています。タイの不動産担保型ICOは、資金調達方法及び利益分配方法の点で不動産投資信託(以下、「REIT」)に類似していますが、投資家保護の仕組みの点においてはREITと比べて十分に規制されていなかったことが改正の背景にあります。

本ニュースレターでは、不動産担保型トークン発行による資金調達の方法及び条件等の概要について解説致します。

[1] http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2564/E/046/T_0036.PDF

2.不動産担保型ICOプロジェクトの要件

不動産担保型トークンの発行により資金調達を行う場合、対象となる不動産の要件として、施工が完了し、活用できる準備が整っている不動産で、差押または紛争等の対象物件となっていないこと[1]、プロジェクトの数や投資額の80%以上を占めるか、投資額合計で5億バーツ以上であること[2]等が定められています。

つまり、一棟のマンションや一軒家であってはならず、プロジェクト内のヴィラやコンドミニアムの総戸数の80%以上、またはプロジェクト投資額の80%以上もしくはプロジェクト投資額が合計5億バーツ以上でなければなりません。

[1] 本告示第32/2条(1)

[2] 本告示第32/2条(2)

 3.デジタルトークン発行者(以下、「発行者」)に求められる資格

発行者はSECのICOに関する2018年告示第1号[1](以下、「告示1号」)が定める以下の主な資格を満たす者でなければなりません。

  • ・タイ法に基づき設立された公開会社または非公開会社であること[2]
  • ・破産会社、破産法に基づき会社更生を申請中、または会社更生中の会社ではないこと[3]
  • ・取締役及び幹部がSECの規定する禁止事項及び告示1号第20条で規定する禁止事項に該当しないこと[4]
  • ・最新の財務諸表について、SECから承認を得た会計監査人による監査を受けていること[5]

これらに加え、不動産担保型トークンの発行者は、オペレーション体制、人事体制(資産管理責任者の設置を含む)、資産管理体制、利益相反防止体制の整備も要件に挙げられています[6]

[1] https://publish.sec.or.th/nrs/7695s.pdf

[2] 告示1号第号17条(1)

[3] 告示1号第号17条(2)

[4] 告示1号第号18条(2)及び第20条

[5] 告示1号第号18条(3)

[6] 本告示第32/2条(10)

 4.申請から許可取得までの流れ

ICOによる資金調達を希望する申請者は、まずICOポータルにプロジェクトの提案を行います。ICOポータルは、告示1号第16条~21条で定める規則に基づき当該プロジェクト及び申請者の1次審査を行います[1]。ICOポータルは、発行者とトークン化されるとされる不動産の両方についてデューデリジェンスを行います。

ICOポータルによる審査通過後、申請者は申請書等一式をSECに提出し[2]、全書類が揃ったと確認された時点で申請料金をSECに支払います[3]。ICOの申請料金は、IPOの場合の規定に準じると定められており[4]、30万バーツとなっています[5]

申請料金の受領後、SECは書類一式を確認し、気づいた点や疑問点について申請者に書面を発行します。申請者は指定された期間内に書面で回答します。当該プロセスは、SECが書類一式を受領してから60日以内に完了させなければなりません[6]。SECは、申請者からの回答受領後30日以内に、審査の結果を通知します[7]

[1] 告示1号第17条(7)

[2] 告示1号第22条

[3] 告示1号第23条

[4] 告示1号第54条

[5] SEC告示 Kor Mor 21/2560号

[6] 告示1号第24条(1)

[7] 告示1号第24条(2)

 5.許可取得後の主な実施事項

SECより発行許可を取得した者は、許可取得日から6ヵ月以内に、ICOポータルを通じてデジタルトークンを販売します(期限の30日以上前に延長申請することも可能)[1]。この6ヵ月以内に、文書または電子データ等で、ホワイトペーパーを公開します。ホワイトペーパーには、発行者の情報、資金調達目的、事業計画、リスク、及び販売方法等について記載し[2]、タイ語で作成する必要があります[3]

また、発行者は、信託開設契約を、遅くとも受託者(Trustee)への信託財産譲渡日までに締結します。受託者への信託財産の譲渡は、デジタルトークン販売終了後15日以内に実施する必要があります[4]

さらに、発行者はデジタルトークンの販売結果について、販売終了後15日以内にSECに報告する義務も有しています[5]

[1] 告示1号第25条及び27条

[2] 告示1号第36条

[3] 告示1号第38(1)条

[4] 本告示第32/6条

[5] 告示1号第32条

 6.信託の開設と受託者の役割

不動産担保型ICOの発行者は、これまで不動産所有権を保有するか、不動産所有権を保有するSpecific Purpose Vehicle(以下、「SPV」)の発行済み株式数の75%以上及び議決権総数の75%以上を保有する信託の開設を義務付けられていましたが、今回新たに不動産借地権が追加されています[1]

REITの場合、受託者は不動産を保有し、かつREITマネージャーにより当該不動産の管理も行います。他方、不動産担保型ICOの場合、受託者はREIT同様不動産を保有しますが、当該不動産の管理は行いません。不動産管理は発行者の役割[2]となっており、受託者は当該行為を監視する役割等を担っています[3]

[1] SEC告示 Kor Ror 4/2564号第2条

[2] 本告示第32/2 (10)条

[3] SEC告示5/2564号第8条

 7.ICOへの投資が認められる者

REITが制限なく小口投資家から資金調達が可能である一方、ICOは不動産担保型か否かに限らず、小口投資家からの投資額に上限が設定されています。SECによりデジタルトークンの購入が認められている投資家は以下の通りです[1]

  • 1)機関投資家
  • 2)大口投資家[2]
  • 例:純資産7千万バーツ以上(住居用の不動産を除く)、年収7百万バーツ以上(夫婦合わせて1千万バーツ以上)、または投資額2千5百万バーツ以上(預金を合わせて5千万バーツ以上)のいずれかに該当する個人。
  • 3)ベンチャーキャピタル、またはプライベートエクイティ
  • 4)上記以外の投資家(小口投資家)1件のICO当たりの投資額上限は30万バーツ以下、かつデジタルトークン発行者の資本金の4倍もしくは1件のICO当たりの調達額合計の70%のいずれか高い方を超えてはならない。

[1] 告示1号17条(3)

[2] SEC告示Kor Jor 4/2560号第5条(2)

8.さいごに

不動産担保型ICOによる不動産管理は発行者に義務付けられていることから、最も適した発行者は、必然的に、不動産管理経験を持つ不動産開発業者であると考えられます。実際、タイの不動産開発会社であるSCアセット、サンシリ、またアナンダ・デベロップメントがICOを検討し始めたという情報が3月3日付のバンコクポスト[1]で報じられています。実現すればタイのみならず、アジア発のICOによる資金調達になるため、今後の動向に注視して参ります。

[1] https://www.bangkokpost.com/business/2077219/developers-among-the-first-to-proffer-initial-coin-offerings

 

以上 

〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。


本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
miho.marsh@oneasia.legal (マーシュ美穂)

2021年05月10日(月)3:30 PM

タイ国 個人情報保護法(PDPA)の施行延期を定める勅令について報告いたします。

PDPAの施行延期を定める勅令について

 

タイ国 個人情報保護法(PDPA)の施行延期を定める勅令について

2021年5月10日

One Asia Lawyersタイ事務所

 

2021年6⽉1⽇に予定されていたタイ国個⼈情報保護法(PDPA)の施⾏を2022年5⽉ 31⽇まで再度1年間延期する旨の勅令が発⾏されました。
施⾏の再度の延⻑の理由としては、
1)PDPA が定める規則、⽅法、条件に従った運⽤が複雑で詳細であること、
2)同法が意図する通りに効果的に個⼈情報を保護するためには⾼度な技術の使⽤が求められること、
3)コロナウィルスが未だ収束せず、経済・社会に⼤きな影響を与えており、タイ全⼟、官⺠問わず、その運⽤準備が整っていないことなどがその理由として挙げられています。
この再度の延⻑期間中に、同意書のフォーマットや個⼈データの国外移転の適法化⽅法、その他の下位規則、ガイドラインが定められることが想定されます。
今後はこれらの情報を収集しつつ、これまで準備してきた PDPA 対応体制をアップデートし、来年の PDPA 施⾏に向けた準備を進めていく必要がございます。
当事務所も、PDPA に関連する情報を収集し随時発信して参ります。
なお、末尾にタイ語原⽂を添付しておりますので、ご参考までに参照下さい。。

 

以 上

 

〈注記〉
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